The 2021 SSJ Fall Meeting

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Poster session (Oct. 14th)

Regular session » S09. Statistical seismology and underlying physical processes

P

Thu. Oct 14, 2021 3:30 PM - 5:00 PM ROOM P3 (ROOM P)

3:30 PM - 5:00 PM

[S09P-02] Swarm earthquake activity in the northeastern Noto Peninsula

〇Yoshihiro Hiramatsu1 (1.Kanazawa University)

・はじめに
能登半島北東部の珠洲市では気象庁震度データベースによると2021年5月〜7月に有感地震が13回発生し,明らかに過去の平均的な有感地震数(〜数回/年)より多い.この地域での地震活動の活発化は2020年12月頃から始まっており,GNSSデータでもそのタイミングに合わせて奥能登で局所的な地殻変動が始まっていることを見ることができる(西村, 2021).さらに遡ると,この地震活動の始まりは2018年5月頃である.本研究では,能登半島北東部の群発地震活動について報告する.

・データと方法
本研究で対象とする地域は能登半島北東部の珠洲市周辺地域で,北緯37.4〜37.6度,東経137.1〜137.4度の範囲である.気象庁の験測値データを用いて,JHD法(Kissling et al., 1994)にて一次元地震波速度構造を求め,その速度構造を用いてDouble Difference法(Waldhauser and Ellsworth, 2000)にて震源再決定を行った.

・結果と考察
本研究地域の地震活動は珠洲市の南部(富山湾側),西部(内陸部),北部(日本海側)の3つの領域に大別できる.南部域では2018年5月から地震数が増加し,6月〜8月にかけて集中的に地震が発生し,その後も地震活動が比較的高い状態が継続していた.2020年12月にそれまでの活動域を囲むような震源分布で地震数が急増した.震源の深さは3領域全てにおいて概ね〜15 km程度であるが,2020年12月の南部域の地震については15 kmより深い地震が多いことやそれまでの活動域の外側にドーナツ状に地震発生域が広がっていることが特徴的である.西部域では2021年2月から,北部域では2021年3月から地震活動が目立つようになり,両地域ともに5月から地震数が急増し,特に北部域では2021年6月,7月にかけてさらに地震数が増え,マグニチュードも3〜4と比較的規模の大きい地震が起こるようになった.

能登半島北東部のGNSSデータからは,2020年12月頃からこの地域において局所的に非定常地殻変動が起こっていることが分かる.西村(2021)は能登半島のGNSSデータの詳細解析から,この非定常地殻変動は茂木モデルを仮定すると,2020年12月からのドーナツ状の地震活動域の北西部付近の深さ12 kmの体積膨張源により説明できることを示した.この非定常地殻変動は現在も継続しており,2021年に一層の活発化を示した一連の群発地震の成因であると考えられる.

飯尾(1983)は群発地震の最大地震のマグニチュード(Mmax)と活動域のリニアディメンジョン(Lswm)の関係式として,Mmax=log10Lswm+2.65を提唱している.2021年7月末時点において,奥能登の3つの群発地震活動域について,観測された最大地震のマグニチュードと活動域のリニアディメンジョンの関係は飯尾(1983)の関係式と概ね整合的である.

・謝辞:本研究では気象庁の験測値データを使用しました.記して,感謝します.