The 2021 SSJ Fall Meeting

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Room C

Regular session » S10. Active faults and historical earthquakes

PM-1

Sat. Oct 16, 2021 1:30 PM - 2:00 PM ROOM C (ROOM C)

chairperson:Yoshiki Shirahama(AIST)

1:45 PM - 2:00 PM

[S10-07] Analysis of aftershock activity of the Ansei-Edo Earthquake using historical documents in Kanto-Koshinetsu

〇Michito Baba1, Yasuyuki Kano1 (1.University of Tokyo, Earthquake Research Institute)

安政江戸地震は安政二年十月二日の夜四ツ時(1855年11月11日午後9時頃)に発生し、江戸市中を中心に関東一円に地震動被害をもたらした。宇佐美(2001)では本震の震央を東京湾北部と推定している。安政江戸地震において、本震についてはもちろんのこと、余震活動の詳細がわかる史料が多数残されている。そこで、本研究では既刊の地震史料集に加え、2000年代初頭に発見された『海老原文庫』や、都司(2003)が紹介した『大屋家日記』などを用いて、安政江戸地震の余震活動の分析を行った。
 本研究では、まず安政江戸地震における余震活動の時間変化に注目した。『海老原文庫』に記録されている『安政地震書留之事』に残る安政江戸地震本震後の地震の記録と、江戸で記録された『破窓の記』などの余震が詳細に記されている史料の記録の比較や、日中と夜間の有感記録数の差についての議論を行った。また、『破窓の記』は安政江戸地震後の地震活動について特に詳細に記録しているが、その他の既刊の地震史料集に収録されている史料との比較を通じて、『破窓の記』が記録している余震がどの程度他史料に記録されているかを検討した。その結果、『安政地震書留之事』では江戸で記録されなかった本震直後の地震を記録している可能性があることや、今回比較に用いた2史料では夜の地震の記録数が少ない訳ではないことが分かった。史料ごとの余震の記録数の違いの理由としては、史料ごとの地震の発生時刻の分解能の違い、余震ごとの震央や規模の違いによる有感範囲の違いなどが考えられる。震央に近い江戸では多数発生する余震を区別して記録できない場合があり、少し離れた場所では、区別して記録できた場合があったとも考えられる。
 次に、安政江戸地震における余震活動の空間的変化に注目した。既刊の地震史料集に収録されている史料について、記録の内容から「余震当日の記事なし」「余震当日の記事はあるが地震の記録なし」「余震当日の記事があり、地震の記録もある」「余震当日の記事があり、大きな地震の記録がある」の4つに分類した。これを関東地方の地図上にプロットすることで、安政江戸地震の最大余震とされる安政二年十月七日の地震を含む複数の余震について有感記録分布図を作成した。最大余震と考えられる安政二年十月七日に発生した地震に着目し、それぞれの史料に残っている地震の発生時間や揺れの特徴を比較したところ、暮頃と夜に2度の地震があり、暮の地震の方が揺れは大きかったと推定できる。夜の地震のみを記録している史料は、記録の時間のばらつきの範囲内で、暮の地震を記録していると考えられる。