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[S14P-01] 背景地震活動の地球潮汐相関情報に基づく地震予測モデルの効率：トンガ・ケルマディック海溝沿いのプレート境界型大地震に対して

〇弘瀬 冬樹¹、前田 憲二²、上垣内 修³ (1.気象研究所　地震津波研究部、2.気象庁地震火山部、3.気象業務支援センター)

背景地震活動の潮汐相関が大地震前に高くなり，大地震後に低くなると報告されている．しかしながら，先行研究は特定の大地震後に回顧的に解析された結果であり，他の大地震についても同様のパターンを示すのかや，大地震とは無関係な平常時に潮汐相関が低い状態を保っているのかどうかは漠然としている．そこで本研究では，背景地震活動の地球潮汐相関情報に基づいた地震予測モデルの有効性について，トンガ・ケルマディック海溝沿いのプレート境界型地震（1977～2020年，M_w 5.5以上，深さ70 km以浅，729個）を対象にMolchanダイアグラムを用いて検証した．その結果，ターゲット規模がM_w 7.0以上の場合については無作為な予測よりも有効とは言えなかった．ターゲット規模がM_w 6.5, 6.0, 5.5以上の場合については，無作為な予測よりも成績が良くなるケースはあったものの，最大でも確率利得は1.7であった．そのため，この地域について潮汐相関情報に基づいた予測モデル単独での実用性は乏しいといえる．このことは同時に，ターゲット地震前に必ずしも広域の背景地震活動の潮汐相関が高くなるとはいえないことを示唆する．