3:30 PM - 5:00 PM
[S15P-11] A trial of conditional hazard assessment based on Variety of Occurrences of the Great Earthquakes along the Nankai Trough
南海トラフ沿いで発生する地震は、規模や震源域の広がりが多様であると評価(地震調査研究推進本部、2020)されており、防災対策のあり方を考える際にはこれらの多様性を踏まえた検討が必要と考えられる。これらの課題をうけて、「防災対策に資する南海トラフ地震調査研究プロジェクト」(小平・他;地惑連合2021年大会)では、時空間的に多様な南海トラフ地震によるハザードやリスクを取り込んだ地震防災基盤シミュレータの開発に取り組んでいる(中村・他;本秋季大会)。本研究では、地震防災基盤シミュレータの開発の一環として、膨大な地震および津波ハザード情報(前田・他、土肥・他;本秋季大会)に基づいたリスク評価を行い、事前避難、産業活動および大都市機能維持等の観点で、地震発生の多様性を有する南海トラフ地震を類型化する手法を開発するとともに、類型毎の代表的な広域での災害シナリオを構築する計画である。 本発表では、研究計画を紹介することに加え、前述の災害シナリオ構築の基礎的な情報となる半割れケース発生後の条件付きハザード評価を試みたので報告する。ここでの「半割れケース」とは南海トラフ沿いのプレート境界で発生するM8クラス以上の地震のうち潮岬以東もしくは以西を震源域とする地震を指し、内閣府の「南海トラフ地震の多様な発生形態に備えた防災対応検討ガイドライン」において発生後には南海トラフ臨時情報のうち巨大地震警戒が発表される地震に相当するものである。 半割れケース発生後の条件付きハザード評価は、確率論的津波評価(地震調査研究推進本部、2020)や地震動予測地図(地震調査研究推進本部、2021)の考え方を参考とした。まず半割れケース発生後に起こりうる地震の震源域の組み合わせとして、既に半割れした震源域を除いたいわゆる割れ残り領域のみから構成される震源域の組み合わせと、既に半割れした震源域を含む全ての震源域の組み合わせを考えた。次に、それぞれの組み合わせに対して地震動予測地図での事例を参考に重みを付与し、半割れケースが発生した場合におけるハザードと条件付き超過確率の関係を評価した。今後、これらのハザード評価に基づいて、事前避難等による人口分布の変化を考慮したリスク評価を行っていく予定である。 謝辞:本研究は文部科学省「防災対策に資する南海トラフ地震調査研究プロジェクト」の一環として行われた。