15:30 〜 17:00
[S16P-08] 大規模盛土造成地における微動探査を用いた地盤震動特性の把握 -鳥取市北園の事例-
高度経済成長期以降,山麓地域や丘陵地の斜面の谷埋め盛土造成地が相次いで開発され,大地震の度にそのような地盤での被害が見られている.東北地方太平洋沖地震の被害調査によると,盛土造成地の盛土部や切り盛り境界部において,地すべりや地盤の隆起・沈下に伴う建物の倒壊などの被害が数多く発生し,切土部に比べて被害が甚大であったことが報告されている.これは谷埋め部分のS波速度が切土部と比較して小さく,地震動の増幅が起こりやすいためである.本研究では盛土地盤の地盤震動特性を把握するために,大規模盛土造成地に指定されている鳥取市北園地域において常時微動観測を実施した.
微動観測は2021/6/23の日中に実施した.3成分単点観測を観測時間10分程度として53点で行った.アレイ観測は地震計を円の中心に1台,円周上に3台が正三角形になるように4台配置し,アレイ半径は1-30mの範囲で,観測時間はアレイ半径ごとに15分程度として盛土部と切土部で各1地点の計2地点で観測を行った.使用機器には加速度型微動計JU410を4台用いた.サンプリング周波数はともに200Hzとした.
微動の3成分観測記録より,20.48秒を10区間以上選定し,3成分のフーリエスペクトルを算出,対数ウィンドウ(係数20)で平滑化し,水平動のスペクトルと上下動のスペクトルの比(H/V)を求めた.H/Vスペクトルから卓越周期とその時のピーク値(振幅比)を読み取った.アレイ観測記録は,CCA法(Cho et. al.,2006)によりセグメント長10.24秒,Parzenウィンドウ(バンド幅0.3Hz)でスペクトルを平滑化し,位相速度分散曲線を求めた.位相速度分散曲線とH/Vを用いて,レイリー波基本モードを仮定して,試行錯誤で地盤構造モデルを推定した.
解析の結果,山麓の平野部に近い場所ではH/Vスペクトルのピーク値が大きく,卓越周期が0.3-0.5秒であった.大規模盛土造成地に指定されているエリアでは盛土部で卓越周期が長く,ピーク値も大きい傾向にあることがわかった.アレイ観測より表層に盛土部ではVs=180m/s,切土部ではVs=130m/sの層がみられ,切土部の方がより低速度であると推定された.推定モデルから4分の1波長則を用いて表層厚を算出し,旧地形の標高値と比較した結果,値は完全には一致しなかったが,その傾向は類似していることがわかった.
微動観測は2021/6/23の日中に実施した.3成分単点観測を観測時間10分程度として53点で行った.アレイ観測は地震計を円の中心に1台,円周上に3台が正三角形になるように4台配置し,アレイ半径は1-30mの範囲で,観測時間はアレイ半径ごとに15分程度として盛土部と切土部で各1地点の計2地点で観測を行った.使用機器には加速度型微動計JU410を4台用いた.サンプリング周波数はともに200Hzとした.
微動の3成分観測記録より,20.48秒を10区間以上選定し,3成分のフーリエスペクトルを算出,対数ウィンドウ(係数20)で平滑化し,水平動のスペクトルと上下動のスペクトルの比(H/V)を求めた.H/Vスペクトルから卓越周期とその時のピーク値(振幅比)を読み取った.アレイ観測記録は,CCA法(Cho et. al.,2006)によりセグメント長10.24秒,Parzenウィンドウ(バンド幅0.3Hz)でスペクトルを平滑化し,位相速度分散曲線を求めた.位相速度分散曲線とH/Vを用いて,レイリー波基本モードを仮定して,試行錯誤で地盤構造モデルを推定した.
解析の結果,山麓の平野部に近い場所ではH/Vスペクトルのピーク値が大きく,卓越周期が0.3-0.5秒であった.大規模盛土造成地に指定されているエリアでは盛土部で卓越周期が長く,ピーク値も大きい傾向にあることがわかった.アレイ観測より表層に盛土部ではVs=180m/s,切土部ではVs=130m/sの層がみられ,切土部の方がより低速度であると推定された.推定モデルから4分の1波長則を用いて表層厚を算出し,旧地形の標高値と比較した結果,値は完全には一致しなかったが,その傾向は類似していることがわかった.