日本地震学会2021年度秋季大会

講演情報

ポスター会場(2日目)

一般セッション » S16. 地盤構造・地盤震動

P

2021年10月15日(金) 15:30 〜 17:00 P9会場 (P会場)

15:30 〜 17:00

[S16P-11] SITES法によるスマトラ断層の断層面推定(2)

〇山品 匡史1、大久保 慎人1、田部井 隆雄1、UMAR Muksin2、ISMAIL Nazli2 (1.高知大学、2.Syiah Kuala 大学)

我々は、インドネシア、スマトラ島北部のスマトラ断層の断層面を推定するために断層近傍で得られた地震波形記録に地震波干渉法による地下構造推定法であるSITES法(大久保, 2009, JpGU2009, S157-015)を適用し、断層面からの反射波と考えられる信号が抽出できることを報告している(Yamashina et al., 2019, AGU Fall Meeting 2019, S11D-0373;山品・他, 2020, 日本地震学会2020年度秋季大会, S10P-12)。解析に用いたSITES法は、一般的には鉛直成分記録のみを用いる地震波干渉法を3成分の記録全てを用いるように発展させた解析手法であり、地震波反射面(例:断層、帯水層)の空間的な広がりを一観測点での記録からも評価可能である利点を持つ。解析には、2011-2015年にスマトラ島北端部Ache州を中心にスマトラ断層のセグメントであるAche、Seulimeumの両セグメント近傍で行われた臨時地震観測で得られた3成分連続雑微動記録を用いた。
前2報では、断層面からの反射波と考えられる信号が抽出され、その結果から推定された反射面は既知の断層に対応していることを報告した。しかしながら、いくつかの観測点については得られた自己相関関数(ACF)に明瞭なピークが現れず、断層面からの反射波を同定することができない場合があった。考えられる要因としては、前処理で適用したバンドパスフィルタの帯域設定が適切でなかった、解析対象の雑微動に対して大きいエネルギーを持つ自然地震や人工振源などからの振動の影響を受けている、ことが挙げられる。そこで、バンドパスフィルタの帯域設定の検討、相関関数を用いる解析において自然地震などの過渡的な影響の軽減が期待される sign-bit normalization の適用などを行った。本発表では、上記による解析結果への影響についての検討と、断層面の推定結果について示す。

謝辞:本研究では、科研費JP24403005、JP17H04577によって得られたデータや成果を利用しました。