The 2021 SSJ Fall Meeting

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Poster session (Oct. 14th)

Regular session » S19. Seismology, general contribution

P

Thu. Oct 14, 2021 3:30 PM - 5:00 PM ROOM P6 (ROOM P)

3:30 PM - 5:00 PM

[S19P-01] Picking of P and S waves and hypocenter determination of the Oita earthquake triggered by the 2016 Kumamoto earthquake

〇Katsuhiro Takasaki1, Masanao Komatsu2, Tomotsugu Watanabe2, Hiroshi Takenaka3, Mitsutaka Oshima4 (1.Department of Earth Sciences, Okayama University (Current Affiliation: Japan Meteorological Agency), 2.Department of Earth Sciences, Okayama University, 3.Department of Earth Sciences, Okayama University, 4.Shimizu Corporation)

2016年4月16日の熊本地震本震(MJMA7.3)で誘発された大分県由布市の地震(MJMA5.7) は、本震の後続波の影響で震源決定のために必要なP波、S波の初動読み取りの気象庁検測値データが少なく、その精度も良くない. 本研究では気象庁検測値がない観測点を含む大分県の観測点の波形記録から誘発地震の初動読み取りを行い、震源を再決定した.

波形記録は、防災科学技術研究所のK-NET、KiK-net、気象庁震度計、大分県内の自治体震度計によるものを使用した. P波、S波の読み取りには Oshima and Takenaka (2020, BSSA)の地震波振幅の確率密度関数に基づくP波、S 波のピッキング手法を用いた. この手法では記録された波形振幅の確率密度関数とランダム性の高い波の振幅分布に従うレイリー分布及びガウス分布との時間経過に伴う非類似性の変化をKullback-Leibler divergenceを計算して評価する. Kullback-Leibler divergenceはP波、S 波の初動部分で大きくなるため、それらの到達時間を検出できる. この方法で得られたP波、S 波の読み取り値を使用して、震源決定を行った. 気象庁が推定した震央周辺を水平方向、深さ方向にグリッドサーチし、観測点間の理論走時と読み取り走時の残差二乗和のRMSが最小となる点を震源とした. 理論走時の計算には気象庁の走時表(JMA2001)を用いた. なお、走時の観測点補正値は2016年04月29日に発生したMJMA4.5の余震記録を使用し、各観測点の波形からP波、S波の初動を目視で読み取り、理論走時との差を計算することによって求めた. 余震の震源情報は、小割(2020, 岡山大学修士論文)によるものを用いた.

結果をFigure 1に示す. Figure 1(a)は、S波の検出例を示す. 誘発地震のS波の初動付近に明瞭なピークが見られる. Figure 1(b)は、震源決定の結果を示す. 本研究における震央は、気象庁が推定した震源より南西方向の由布院断層の西端付近に求められた. 誘発地震発生後、由布院断層沿いに余震が発生している(小割, 2020, 岡山大学修士論文)ことから、大分誘発地震は由布院断層の活動によって発生したと考えられる.

謝辞
本研究では防災科学技術研究所(K-NET、KiK-net)、気象庁、大分県の震度観測網の観測波形記録及び気象庁一元化処理震源データを使用させて頂きました. 誘発地震の余震の震源情報は、小割(2020, 岡山大学修士論文)によるものを使用させて頂きました.