[3BS1-1] 野生動物の表現型多様化の原因遺伝子の解明
学術賞 木原均 生物 バイオ ライフサイエンス 動物学 植物学
生物多様性がどのように進化するのかという問いは、生物学の本質に関わるものでありながら、いまだに多くの未解決問題が残っており、十分な答えを得ることができていません。現在、生物多様性は急速に減少しており、生物多様性研究は社会的に緊急を要する課題と言えます。特に、野生生物の多様性を生み出す遺伝子の変化の実体についてはほとんどが未解明です。北野は、日本に生息するトゲウオを進化遺伝学研究のモデル系として確立し、分子遺伝学・ゲノム学・遺伝子操作などの研究アプローチを野生生物の生物多様性研究にいち早く導入し、いくつもの世界的な研究成果を挙げてきました。特に、性染色体の転換が種分化に重要であること、魚が海から淡水へ進出する際にドコサヘキサエン酸(DHA)の合成能力の進化が重要なことなどを発見した一連の研究は、国際的に高い評価を受けています。今後も、トゲウオを用いて野生生物の多様性を生み出す遺伝基盤を解明し、トゲウオ研究を通して多様性進化に関わる普遍的な法則・原理を見出すことを目指していきます。