Japan Association for Medical Informatics

1:10 PM - 2:10 PM

[SL-1] これからの医療ITイノベーション:医療現場を変えるアントレドクターの挑戦!

中山 善晴 (株式会社ワイズ・リーディング)

 少子高齢化、現役世代の減少、社会保障費の増大。日本では、人類にとって未知の高齢化社会が始まり、既存の仕組みが少しずつ機能障害を起こしかけています。従来の思考、手法、制度では対処できない状況に対して、新たな思考、技術、仕組みをもとに新しい社会を組み立て直す時期にきています。しかし、悲しい話ばかりではありません。21世紀、新たに産み落とされたテクノロジーが私たちの環境を大きく変えようとしています。 それが 、IoT 、AI、ビッグデータ、ロボティクスなどの科学技術です。
 医師の働く環境はどうでしょうか。従来の医師のキャリアとしては、学問、診療、経営の3つの分野に大まかに分けられると思います。若い医師は、自分の未来像を、研究するか、診療に勤しむか、あるいは病院を経営するかのいずれかを想像する人がほとんどではないでしょうか。最近、従来の3つの分野に入らない新しい第4の道に進む医師が増えてきています。医師でありながら起業家、「アントレドクター」(アントレプレナーとドクターをかけ合わせた造語)になる道です。医師は、経済的、社会的に安定した職種であり、あえてリスクを取る必要はありません。しかし、仕事のやり甲斐とは何かを考えたとき、社会の課題を変えるような仕事をしたいとの想いに行き着く人も少なくありません。医師の起業の多くは社会的貢献を目指すものです。医療現場の課題を最も効率的に、ダイナミックに変えることができるのは医師なのです 。
 私は12年前に、熊本大学医学部附属病院を退職、遠隔画像診断の会社を創りました。多くの困難、試練がありましたが、現在は医療システム開発、AI/IoMTシステム開発なども手がけ、社会の課題に挑戦する仕事をしています。また医学部生たちに、医療だけでなく、テクノロジーやデザイン、起業家精神などを伝える活動を行っています。柔軟な思考や発想を持った若い医師が未来の医療現場の課題を解決していく、そのような人材を育てる活動をしています。
 今回の特別講演では、 AI 、 IoT を活用した医療現場の課題解決、アンドレドクターの育成などについて、私見を交えながら、お話ししたいと思います。