一般社団法人 日本医療情報学会

13:00 〜 15:00

[TS-4] 大規模診療情報データベースの質担保の課題
-NHOが直面した課題を多面的に議論する-

◆プログラム(案)
1.「NCDAの概要」
渡辺 宏樹(国立病院機構本部 情報システム統括部 副部長)
2.「薬剤疫学(レギュラトリ)の視点」
今井志乃ぶ(国立病院機構本部診療情報分析部)
3.「臨床疫学研究者の視点」
山名 隼人(東京大学大学院医学系研究科公共健康医学)
4.「臨床指標等の視点」
調整中
5.「データベース運用者の視点」
堀口 裕正(国立病院機構本部 情報システム統括部 データベース企画課長)
6.総合討論、まとめ
国立病院機構(NHO)では、SS-MIX2データを収集活用することに加え、標準的なSS-MIX2モジュールの普及促進を目指した大規模診療データベースを構築し、運用している.診療情報のデータ利活用は、臨床疫学、薬剤疫学、レギュラトリーサイエンスなどの各分野で大きく進展してきており、とりわけ医療情報データベースを用いた観察研究は、ランダム化比較試験のサンプルサイズ・観察期間では検出されないレベルの稀なアウトカムの研究や日常診療下における実態調査に適しているとされている。一方で、明確なリサーチクエスチョンを背景に計画されたコホート研究や疾患レジストリーと比べると、情報の正確さや詳細さが不十分であり、必要な交絡因子の情報が不足していることが弱点であるとの指摘もされている。こうした指摘は、データ2次利用者からの質担保の要求・要望であり、きわめて重要である。しかし現実問題として、RWD(Real World Data)であるがゆえに、データ発生の現場において通常診療を行う上では不必要とされる入力作業の追加は過負担となり、許容される状況にはないのが実情である。
われわれNHOにおけるNCDAおよび診療情報報分析システム(MIA:Medical Information Analysis databank)を運用していく上で、質担保と現場負担の最小化の両立を行うためどのような課題があるか、多様な立場からの意見を紹介し、かつ今後の取り組みの検討状況もあわせて紹介することで、われわれの経験をもとに広く普及促進に努めるものである。