[2-A-4-CS1-2] バイオバンクと研究を繋ぐAMEDゲノム研究支援機能について
平成27年4月1日、医療に係る研究開発を基礎から実用化までの一貫した研究マネージメントをもって行う機関として、日本医療研究開発機構(以下、AMED)が、発足した。しかし、AMEDの9つのプロジェクトの中の1つ、「疾病克服に向けたゲノム医療実現化プロジェクト」は設立当初から大きな転換期に晒されていた。当時、ゲノム研究の成果は患者さんに届いているのか、という批判的な意見がある一方、同年1月に米国のオバマ政権による「Precision Medicine Initiative」の発表など、研究加速化の方針が各国から示された。このような動向の中で、日本では、内閣官房健康・医療戦略室のもと、有識者が集まり議論が交わされ、その結果、「ゲノム医療実現推進協議会―中間取りまとめー」が同年7月にとりまとめられた。この方針を受けて、各省ではゲノム研究の進め方を拠点型から、オールジャパン体制に切り替えていくなどが示された。更にAMEDでも有識者を招き、平成28年2月に「ゲノム医療推進ワーキンググループ報告書」が取りまとめられた。この中で、オールジャパン体制で研究を実施していくためには、機関連携を促す仕組みとともに、AMEDによるゲノム研究支援機能の立ち上げが提言された。AMEDではこの支援機能を構築するに当たって、まず、平成28年4月に「ゲノム医療実現のためのデータシェアリングポリシー」を発表した。更に、ゲノム研究の加速は、卓越した先生の研究が重要であるが、それを支える基盤の研究者や技術者等を支援することが不可欠であるとし、「バイオバンク」、「ELSI(研究倫理)/情報発信」、「情報基盤」の3つの基盤を支援する機能を立ち上げた。これは、研究者-研究者、研究者-基盤研究者、基盤研究者-基盤研究者、更に、企業の技術者等を繋ぐ機能でもある。当日は中間取りまとめ以降のAMEDが推進するゲノム研究及びAMEDの支援活動の状況を紹介するとともに、今後の活動の方向性について紹介する。