Japan Association for Medical Informatics

[2-A-5-AS2-1] 社会医学系専門医制度の現状報告と展開可能性

今中 雄一 (京都大学 大学院医学研究科 医療経済学分野)

社会医学系専門医制度は、関連学会・団体が共同・協働して構築し、本年平成29年度より始動した。当制度は、使命感、倫理性、誇りと公共への責任をもって医療・公衆衛生の向上に貢献し、国民に信頼される専門医の制度であることを目指すものである。社会医学系の専門活動は、社会に大きく貢献するやりがいある仕事であるが、外からは見えにくい。専門外に見えにくい専門性を“見える化”することは重要であり、それは、専門性を“高める”しくみの強化に繋がる。
専門研修プログラムでは、「医療」を主分野とする専攻医は、副分野として「行政・地域」、「産業・環境」の各領域においても学びを経験する。社会システムを広く理解し今後の人的ネットワークにも繋げていく。各プログラムの研修の場では、具体的に能力向上のための場や方法が提供されていくが、各々の工夫や技法や方略から学びあう場づくりも今年度から行われる。
能力向上を進めるしくみを継続的により良いしくみにしていき、関係者の協働の基盤を強化し、キャリアパスの見える化を進め、医療・健康・介護の社会システムの向上、関連多職種を含む全体の活動の向上を目指すものである。専攻医の育成にとどまらず、自己学習・生涯学習の促進・支援を通じて、専門医、指導医の能力の保証と継続的向上を進め、社会医学系の専門的活動とその意義を国民に見えやすくする。社会医学系の専門人材のキャリアパスやロールモデルをわかりやすく示す。かつ、既存のパスやモデルに拘らずに、柔軟に未来志向で、新たな社会における変革していく専門性の発展を促すものである。そういった人材育成システムを体系化して常に進化させていく必要がある。
また、当専門医制度とその専門医の社会的貢献を、社会により見えるようにしていくことも重要である。当制度をもうまく活用し、関係者の総力を挙げて人材育成のしくみを継続的に発展させることが求められている。