[2-B-1-OP1-5] 救急車映像および位置情報システムへの12誘導モバイル・クラウド心電図機能統合について
【背景】JRC蘇生ガイドライン2015において、病院前に12誘導心電図を記録して病院へ事前通知することが推奨されている。本邦においても12誘導モバイル・クラウド心電図(クラウド心電図)伝送の報告は散見されるが、全県下にまたがる導入の報告はない。【目的】救急車から12誘導心電図伝送を行うことにより、心臓カテーテル検査(心カテ)開始および再開通までの時間を短縮する。【方法】大分県では、平成26年7月より大分県遠隔画像伝送システム(画像伝送システム)が導入され、10消防本部の救急車34台とドクターカー3台の映像情報と位置情報を4救命救急センターへ14ヶ月間で414件の伝送を行い、その有用性について本学会で報告した。今回、平成28年度地域医療介護総合確保基金を用いて、本システムへのクラウド心電図機能追加を行った。①10消防本部に1台ずつのクラウウド心電計を配備し、通信には画像伝送システムのタブレット端末を利用 ②4救命救急センター、8 PCI施設、6 地域中核病院が参加 ③急性冠症候群(ACS)が疑われれば、救急隊は搬送予定病院へ心電図伝送 ④循環器科医は、院内、院外に関わらず、心電図を確認し心カテの適応を決定 ⑤病院到着後、速やかに心カテ・治療を開始する【結果】4月17日から6月10日までに、29件(平均年齢75.0±12.3歳)の心電図伝送を行なった。搬送先は、救命センター13例、PCI施設7例、地域中核病院6例、その他3例であった。6例(20.7%)で緊急心カテが行われ、傷病者到着の15から40分前には心カテが決定されている。また、9例においては、心電図所見からACSは否定的であり、近隣の施設で対応することにより不必要な遠隔地への搬送を回避できた。【考察】PCI施設までの搬送に時間のかかる地域の多い大分県では、クラウド心電図は非常に有用な手段となる。