[2-B-1-OP1-6] インフルエンザ施設別発生状況における横浜市立小学校の学区域を利用した地図情報システムの試作
厚生労働省では,インフルエンザ感染症の流行状況を把握するため,感染症発生動向調査(以下,NESID)を実施している。NESIDでは,定点医療機関やインフルエンザ施設別発生状況(以下,学級閉鎖等)からの情報を収集・還元して,感染症の予防に努めている。筆者らは,横浜市が保有している地図情報システム(以下,GIS)の‘よこはまっぷ’の利用について,第35,36回医療情報学連合大会で報告を行った。今回,横浜市立小学校の学区域を利用して,ESRI社製のArcGISを用いて,インフルエンザ感染症の流行状況を可視化したので報告する。従来から,学級閉鎖等の情報は,手入力によるエクセルで,自作した登録システムを利用して電子化してきた。‘よこはまっぷ’では,地図上にマップアイコンを用いた,文字情報の掲載のみとなっており,操作性の課題もあった。そこで,新たな登録システムにおいては,ArcGISへデータをアップロードするための仕組みを試作し,8階層の色別によるポリゴンを利用して,地図上に可視化した。データは,患者数と患者率(仮称)の両方について,それぞれシート上に登録する仕様とした。なお,患者率(仮称)は,患者数を全児童数で除算して%表示している。また,NESIDとの整合性を図るため,同一週内で発生した同一施設においては,登録と同時に追加加算する仕組みとした。さらに,従来からNESIDへ情報を計上している,定点当たりの患者報告数(以下,患者報告数)について,別のエクセルデータから情報を得て,ArcGISの地図上にグラフ化して,学級閉鎖等の情報と併記することにした。これにより,GISを利用して,患者報告数と学級閉鎖等の関連情報が,視覚的に分かり易く,一元的に把握することが可能となった。