Japan Association for Medical Informatics

[2-B-3-OP12-1] 広域無線LAN環境における電波状態改善の取り組み

伊藤 和哉1, 中村 直毅1, 長瀬 祥子2, 葭葉 純子1, 鈴木 麻里恵1, 高畑 知香1, 杉山 豊2, 冨永 悌二1 (1.東北大学 医学系研究科, 2.東北大学 東北メディカル・メガバンク機構)

著者らは2014年、キャンパス内の医学部6号館・メディカルメガバンク棟(以下、6号館)の新棟建設に伴い、7階建の建屋全域に100台の無線アクセスポイントを設置するとともに、無線LANコントローラも合わせて導入して、チャネルは固定、電波強度は自動調整する形で運用していた。広範囲で無線LAN環境を提供する場合、管理下にある周辺の無線アクセスポイントや利用者自身が保持している無線アクセスポイント等による電波干渉によって、無線通信の品質の低下が引き起こされる。これは無線LANサービスを運用する上で重大な課題の1つである。運用当初から”無線が頻繁に切れる”、”速度が遅い”、”通信が不安定”といった苦情が多く寄せられ、その都度、無線通信のスペクトルアナライザを用いて周辺環境の電波状態を採取し、無線アクセスポイントやコントローラのログ情報および統計情報と突き合わせながら、無線設定の変更を繰り返し行ってきた。しかしながら、一時的な不具合の改善に留まり、抜本的な解決には至らなかった。
上述した不具合を抜本的に解決するため、無線アクセスポイント単体に対する基本機能の動作検証に加え、電波出力状態の正常性を確認した。次に、個々の無線アクセスポイントの電波出力状態および周辺のアクセスポイント等からの電波受信状態の情報を収集し、その情報の分析を通して、電波の干渉状況を推測し、無線アクセスポイントの設定を変更した。さらに、変更後の電波出力状態および電波受信状態の情報を再度収集および分析し、無線アクセスポイントの設定変更を繰り返し行うことで電波環境の改善を実施した。電波環境の調整を半年以上実施した結果、建屋全体で電波状態を大きく改善させることができ、利用者からの苦情も皆無となった。
本稿では、電波環境の改善の取り組みで実施した具体的なプロセス、経過、発生した課題等を報告する。