Japan Association for Medical Informatics

[2-C-1-OP2-3] 北海道における複数地域医療連携ネットワークシステムとの相互接続基盤の構築

山本 健二, 伊藤 豊, 遠藤 晃 (北海道大学病院 医療情報企画部)

【背景と目的】
 北海道には、広大な各地域の中核病院毎に患者情報共有ネットワークが構築され、地域医療連携ネットワークシステム(以下、地域連携システムという)が3つ存在する。本院の調査では、道南や釧路圏で日本電気株式会社のID-Link(参照399施設、公開49施設)が、道北や十勝圏で株式会社ファーストブレスのAreaConnect(参照311施設、公開22施設)が、旭川圏で富士通株式会社のHumanBridge(参照146施設、公開9施設)が利用されている。札幌圏ではこれらが混在しており、地域連携システム間の患者情報共有は難しい状況であった。
 本院は、北海道札幌市の病床数944床の特定機能病院である。本院の電子カルテは日本電気株式会社制MegaOakHRで、2010年6月に電子カルテへ移行し、2014年にXenAppで電子カルテを公開する機能を、2016年にID-Linkを導入済みである。今回、2017年に本院が行った対応についてまとめ、報告する。

【構築方法】
 本院では、すでに道内で構築されたネットワークと連携するため、既存のID-Linkと重ねてAreaConnectを追加導入した。なお、AreaConnectは標準化した診療情報(SS-MIX2、DICOM)を相互に公開できるシステムである。

【構築結果】
 本院から閲覧する場合、電子カルテの患者基本情報表示エリアに、複数の地域連携システムのアイコンを表示し、シングルサインオンで閲覧できる機能とした。
 他院から閲覧する場合、各地域連携システムのカレンダー画面に、本院の電子カルテを起動できるボタンを表示した。標準化した診療情報を閲覧したうえで、必要に応じてボタンを押すことで、シングルサインオンで本院の電子カルテそのものを閲覧できる機能とした。

【考察】
 道内で連携できる地域が増え、複数の地域連携システムと本院の電子カルテを連携することで、利便性の高い仕組みが構築できたと考える。地域連携システムを複数導入し運用する負担が大きいため、残るHumanBridgeの検討と共に、より負担を軽減する機能や対策が必要と考える。