Japan Association for Medical Informatics

[2-C-1-OP2-5] 熊本県地域医療等情報ネットワーク「くまもとメディカルネットワーク」の利活用推進に関する検討~医療文書の電子的送受信とオンライン画像連携について~

山澤 順一1, 高橋 英夫1, 中村 直樹1, 上島 さやか1, 栃原 秀一3, 池田 龍二3, 廣瀬 隼2, 宇宿 功市郎2 (1.国保水俣市立総合医療センター 診療技術部, 2.熊本大学医学部附属病院 医療情報経営企画部, 3.熊本大学医学部附属病院 医療技術部)

【背景】当センターは『くまもとメディカルネットワーク』(以下、KMN)に参画し、平成27年12月より試験的先行運用を開始した。パイロットエリア(3圏域:阿蘇、水俣・芦北、人吉・球磨)および熊本大学医学部附属病院、熊本市内の三次医療機関や地域の中核病院において先行的にシステムを構築し、平成29年4月から県下全域へ連携医療機関を拡張し、県全体への普及に向け検証を行い、システム改良や周知広報等を展開している。
【目的】平成29年6月現在、KMN全体では登録者数1838名、利用施設数193施設の登録を記録し、少しずつ診療情報が蓄積されているが、実際の臨床での利活用に関しては、まだメリット感が得られず達成度が低い状況である。今回、KMNの利活用推進のための方法を模索し、検討することを目的とする。
【方法】KMNの利活用推進の取り組みとして、連携施設間における医療文書の電子的送受信とオンライン画像連携について、大学病院、地域中核病院、診療所のそれぞれの立場で検討した。情報を提供する側と、情報を受け取り利用する側の視点で運用上の問題点や改善点を見出し、利活用推進に関する検討を行った。
【結果・考察】病病連携では、自施設の電子カルテでの医療文書や画像参照などの運用が基本であり、このKMNの画面を参照して臨床に利用する為には操作が煩雑と感じられることが分かった。対応策として、KMN経由で受信した情報は、自施設の電子カルテで参照ができるよう事前に情報を統合する必要がある。また、病診連携では、自施設の運用が紙カルテであるケースが多く、KMNの画面上で医療文書や画像を参照して臨床に利用する価値は大きく、印刷して紙カルテにも保存可能であり利便性は向上するが、操作が不慣れであることが多く、利用頻度が少ないことが分かった。今後KMNの利活用推進のために、それぞれの立場でのニーズに合わせた医療情報の利用方法で情報にアクセスすることが可能であるシステム設計が必要であることが分かった。