一般社団法人 日本医療情報学会

[2-D-1-OP3-2] 業務・経営改善にむけた臨床・経営指標算出システムの構築と利活用について

星本 弘之1, 山中 土佐雄2, 鈴木 將貴2, 大原 信1 (1.筑波大学附属病院 医療情報経営戦略部, 2.筑波大学附属病院 病院総務部経営戦略課)

【背景】
医療機関の経営状態や各種業務の評価を行う上で、客観的なデータに基づいた指標は重要であるが、病院情報システム導入によりデータ入手は容易になったものの、計算や公開は手作業であり、リアルタイムでの把握は困難であった。さらに、状況の変化に伴い必要な指標が変化するなど、臨機応変な対応も必要であることから、我々は指標の追加等に容易に対応可能な臨床・経営指標のリアルタイム公開システムを開発・運用したので報告する。
【方法】
リアルタイム公開システムは電子カルテのDWHデータベースと直接接続された統計処理・公開サーバからなる。統計処理・公開サーバはMS-Windows7上にApache TomcatとMS-SQL-Serverにより構築し、システム全体はJAVA言語で開発した。指標の計算は基本的に電子カルテのデータベースからリアルタイムで情報を取得して行っている。指標の計算条件はハードコーディングではなく、一部については設定ファイルに定義式を記述する形式を取り、追加や変更を容易とした。
【結果】
2017年6月現在で、病床稼働状況(病棟別、科別)、科別手術実績等の診療実績、クリニカルパス適用状況などの医療の質に関わる指標や初期研修医のカルテ記載の承認状況など臨床教育に関わる指標等、12の指標を院内に公開している。また、指標の追加・変更については、算出条件の検討から始め、最短3日程度で実現可能であった。
【考察】
本システムの公開により、院内からは業務の実績把握が容易になった、等の意見があり、研修医のカルテ記載の承認率が向上する効果も見られた。これは、本システムが各診療科により状況把握と業務改善に使用されている現れと考えられる。また、指標の追加・変更についても容易となったことから、今後は、バーコード認証率など、医療安全の指標を充実させ、さらに業務改善に資するものとしたいと考えている。