Japan Association for Medical Informatics

[2-E-3-OP15-5] 電子カルテ機能を応用したNCDへの手術症例一括登録システムの確立

中川 彰人1,3, 真鍋 史朗2, 村田 泰三1, 堅田 沙耶香1, 北尾 隆3, 粟田 政樹3, 武田 理宏1,2,3, 松村 泰志1,2,3 (1.大阪大学医学部附属病院 医療情報部, 2.大阪大学大学院医学系研究科 医療情報学, 3.大阪大学大学院医学系研究科 循環器内科学)

本邦における外科系診療実態を把握するためNational Clinical Database(NCD)が確立され2011年より症例登録が開始された。専門医制度とも連動し手術症例登録が進んだ結果、2017年6月現在4,981施設が参加し700万件以上の手術症例が登録された巨大データベースが構築され、各施設の診療実績を証明するインフラとしても活用され始めている。循環器内科領域でも日本心血管インターベンション治療学会(CVIT)では専門医申請および研修施設認定にはNCDへのJ-PCIレジストリー手術症例登録を要するが、レジストリーへの入力項目が細かく設定されており循環器内科医にとって登録作業負担は軽くない。NCDへの症例登録はウェブサイトの症例報告書(CRF)から一症例ずつ登録する形式を基本とするが、登録作業を軽減するため施設ごとに症例を一括してCSVファイル形式でアップロードすることも可能となっている。一方で指定されたCSVファイル形式に診療情報を集約する作業も容易ではなく、各データ項目が指定されたフォーマットに完全に一致しないとファイルは受け付けられない。
今回我々は当院の電子カルテが持つテンプレート経過記録機能、Data Warehouse(DWH)から診療情報を抽出しCSVファイルとして出力させる機能を応用することで、J-PCIのCRFに準拠する136項目を設定したテンプレートを作成し、診療録を記載する過程で生成されたデータからNCDに登録するために必要な情報をCSVファイル形式で出力するシステムを構築し、得られたCSVファイルをアップロードすることで1年分の手術症例(新規症例207例、追加症例43例)をNCDへ一括登録することに成功した。このシステムによりNCDに登録するための診療情報を経過記録として作成し、登録時の転記エラーを回避し正確な診療情報として登録することを実現しつつ、循環器内科医の作業負担も軽減することができた。本稿では今回の取組みの概要を解説するとともに、本システムをより有用性の高いツールとして活用していく上での課題として、NCDのCRF改版に合わせて入力テンプレートも追従改版していくことが必要になる点や、症例登録時に発番されるNCD症例識別コードを簡便に取得する手法が必要となる点が挙げられるため、これらを合わせて報告する。