Japan Association for Medical Informatics

[2-F-1-OP4-1] 診療情報管理指向サマライズシステムの構築

香川 泰俊1,2, 岡野 晶子1, 河合 由美子1, 小林 定利2, 前田 英一2 (1.神戸大学医学部附属病院医事課, 2.神戸大学医学部附属病院医療情報部)

【はじめに】
当院診療情報管理部門は、DPCコードチェックとDPC調査提出データの作成に多大な労力を費やしている。「カルテを熟読し、治療プロセスを頭の中で組み立て、導き出した主病名・資源最投入病名・手術・処置等と医師が入力したDPCコードが等しいかチェックし、退院サマリと組み合わせて様式1を作り上げる。」文字にすると簡単ではあるが、効率性と正確性に疑問が残ることが課題であった。
そこで、診療のポイントを頭にいれた上でカルテを読むことができれば見落としが減るのではないかという発想から、DPC調査データ作成に焦点を当てた「診療情報管理指向」サマライズシステムを自院の医療情報技師と診療情報管理士で独自構築した。
今回はシステムの有用性と、構築にあたっての医療情報技師・診療情報管理士の貢献について報告する。

【方法】
システムへの要求仕様を以下4点とした。
・入院中の診療行為・アクティブ病名・急変をわかりやすくする。
・一枚ずつでの参照しかできない病理レポートを、テキストベースで全件表示する。
・DPCコーディング時の分岐のミスを視覚的に捉える。
・マスタメンテナンスの負担はできるだけ増やさない
システム導入前後で以下項目を比較し評価を行った。
①DPCコード変更依頼通知作成件数
②DPC確定済みの初発悪性腫瘍患者の様式1入力完了までにかかる時間
③部位・詳細不明病名に該当するDPC件数

【結果】
①1.2倍に増加、②は導入前の1/2へ短縮、③は12%から4%へ改善し、業務の効率性・正確性両面で改善できたと考える。

【考察】
ベンダーが提供している一般的な診療情報管理業務的なシステムは、DPC調査用提出データやレセプト電算ファイル等の定型フォーマットを利用して構築されることが多いが、リアルタイム性が求められるDPCチェック等の目的に向いているとは言えない。診療情報管理部門に配置された医療情報技師・診療情報管理士が協力して自院専用のシステムを構築し管理することは一つの解決策になりうるのではないかと考える。