Japan Association for Medical Informatics

[2-F-1-OP4-2] 診療情報管理士の関与が様式1データの傷病名とそのICDコードに与える影響

畑山 暁, 中村 遼, 早川 昇太, 佐藤 恵 (福知山公立大学)

背景
DPC/PDPSの様式1データで報告される傷病名は、傷病名マスターに登録されている傷病名(登録傷病名)、登録傷病名と修飾語マスターに登録されている(登録修飾語)を組み合わせた傷病名(合成傷病名)と、合成できない傷病名(未コード化傷病名)とに分けられる。未コード化傷病名の低減は、DPC/PDPS制度開始時から大きな関心事となってきた。しかし、施設によっては登録傷病名が合成傷病名として報告されたり、合成傷病名のICDコードが不適正であったりする問題については、あまり注目されてこなかった。診療情報管理士が、これらの課題解決に寄与すると期待されるが、その最適な関与法は明らかになっていない。
目的
診療情報管理士の関与が、様式1の報告傷病名とそのICDコードに影響を与えるかを検証する。
材料・方法
 DPC/PDPSデータ作成作業への診療情報管理士の関与法が異なる3つの一般病院(J、R、S)の様式1データを取得する。報告された傷病名から一意の傷病名を抽出し、登録傷病名のみ、合成傷病名、未コード化傷病名の構成や、合成傷病名のICDコードの適正さに差異が観測されるかを調査する。
結果
(一意の傷病名数、内)登録傷病名数、内)未コード化傷病名数、内)合成傷病名数)は、J病院(3073、1550、315、1208)、R病院(2393、1315、55、1023)、S病院(3198、2132、38、1028)であった。また、ICDコードの確認が必要な合成傷病名のうち、J病院46%、R病院6%、S病院6%で、修正がなされていた。
考察
各病院によって、様式1データの傷病名の構成に差異が見られた。また、合成傷病名のICDコードの確認作業の実施率も異なった。様式1傷病名とそのICDコードの後利用への影響が懸念される。これらの差は、診療情報管理士の関与法の違いによって生じていると考えられる。特に、付加する登録修飾語の種類に隔たりがあり、ICDの分類体系に関する知識の影響を示唆する。
結論
 診療情報管理士の関与法によって、様式1の報告傷病名とそのICDコードに差異がみられた。