一般社団法人 日本医療情報学会

[2-F-1-OP4-5] 効率化を目指した院内がん登録ツールの改修

繁浪 幸代1, 矢田 敏明2, 三島 優志3, 福田 成美1, 内谷 隆之1, 山本 隆昌1, 小阪 真二4 (1.島根県立中央病院 情報システム管理室, 2.株式会社 テクノプロジェクト, 3.富士通株式会社, 4.島根県立中央病院 病院長)

【はじめに】
当院は2008年から電子カルテを含む統合情報システムに当院独自の院内がん登録ツール(以下ツール)を構築し運用を行ってきた。ツールは院内の全端末から利用でき、同一画面でツールとカルテを開きがん登録が行える。2016年標準登録様式に準拠した院内がん登録を効率的に行うためツール改修を行ったので報告する。
【改修内容】
①腫瘍情報の部位や組織型、TNMなどの組み合わせが合致しない場合のアラート機能(以下TNMチェック)を追加した。②登録様式の変更に対応できる定義バージョン機能を追加した。③登録情報の更新履歴を追加し、職種、更新者などで絞込みができるようにした。
【効果】
①TNMチェックにより登録時の誤入力を認識できるようになった。精度が向上したことでダブルチェックが不要となり効率化に繋がった。②定義バージョンは登録者でマスタ管理できるため、登録様式の変更に速やかな対応が可能となった。バージョン機能の追加により煩雑だった過去分の追加登録が容易となった。③更新履歴により登録内容の確認作業が効率化された。また、医師の修正内容が把握でき登録者のスキルアップに繋がった。
【考察】
①TNMチェックは、全症例を網羅できるため腫瘍情報の品質管理に有効と考える。また、定義バージョン機能や登録者がマスタ管理できることから将来的な院内がん登録の運用変更時にもツール改修は不要になると考えている。今回、早い時期に標準登録様式の変更に対応したツール改修を行うことができ、精度の高い登録へと繋がったのは、当院が独自ツールで運用しているからであると考える。
【結語】
登録者がツール改修に携わったことで問題点や改善案を提示でき、院内がん登録の効率化に繋がった。しかし、項目間の組み合わせの品質管理はMicrosoft Accessに登録データを取り込み抽出して行っているため、ツールでの品質管理が今後の検討課題である。