Japan Association for Medical Informatics

[2-G-2-OP7-1] 医療情報科学を学ぶ学生の性格特性 11年の経験から

安田 晃, 平野 章二, 關 真美, 津本 周作 (島根大学医学部医療情報学講座)

はじめに
人は思考,感情,行動の背後にある反応傾向を内在している.ここでは医学科,看護学科の入学生がどのような特性を有しているか確認し,両学科の特徴を考察したい.

方法
2007年度から17年度入学生を対象とした.各年度,第1回目の情報科学演習において,大学入学前における科目としての「情報」の履修状況といわゆるBig Five 尺度といわれる60個の形容詞についてまったくあてはまるからまったくあてはまらないまで5肢の選択とした質問紙に回答した.履修状況では簡単な基礎集計とクロス集計を,Big Five 尺度ではGoodman-Kruskalのγで基礎的な傾向を確認し,因子解で基本特性を抽出した.

結果
「情報」の履修状況では各年度,医学科,看護学科とも基礎的な科目である「情報A」が多く,2013年度の科目見直しにより新たな「社会と情報」,「情報の科学」では,「社会と情報」が圧倒的に多かった.履修年次では1年次に履修する傾向であったが,導入当初の2007年度,08年度入学生などは2,3年次での履修も,直近の年度と比し多かった.医学科では情報A,B,Cや「社会と情報」,「情報の科学」ではなく独自の科目を履修している学生も散見されたが,看護学科ではほぼいなかった.経年でBig Five 尺度の因子解を見た場合,医学科で情緒不安定性,外向性が第1因子となる傾向にあり,看護学科では外向性に加え開放性が第1因子として抽出されたが,情緒不安定性も存在していた.

考察
履修状況からは情報Aのような基礎的な科目を高校1年生という早い段階で教える傾向が両学科ともあり,いろいろな工夫をした情報を学んだ学生は少なかった.Big Five 尺度では,外に向いた特性を有する看護学科に対し,医学科では外には向かうものの内に閉じこもる特徴もあり,両学科で性格特性は異なっていた.