Japan Association for Medical Informatics

[2-G-2-OP7-2] 放射線専攻学生を対象としたEGS5による放射線シミュレーションの教育的評価

松谷 秀哉1, 門前 暁2, 細田 正洋2, 柏倉 幾郎2, 加藤 博之1 (1.弘前大学医学研究科, 2.弘前大学大学院保健学研究科)

【背景と目的】保健学科放射線専攻の学生にとって放射線は必須の道具であるが、その特徴から放射線の理解と知識の習得は難しいのが現状である。放射線シミュレーションは、放射線を視覚化するとともに、いろいろな条件に対する反応を手軽に疑似的に体験できる事から、教育用ツールとして有効な手段である。昨年、放射線シミュレーションの代表の一つであるEGS(Electron-Gamma Shower)に対するGUI環境の開発について報告した。今回は、これを実際の授業に用いて放射線シミュレーション教育における効果・有効性などを報告する。
【方法】本学の保健学科放射線科学専攻の3年次学生40人を対象。学習・実施済みの内容(放射線防護の3原則や放射線計測実験など)について、EGS5によりシミュレーションを行い比較検討する課題を出題し提出レポートを評価した。これは学習済みの内容を用いる事により、課題レポートの内容にシミュレーションの効果などが明確に表れる事を期待したものである。また最後にアンケートを行い、意見などを集計した。
【結果】提出レポートは、結果に対して数値化は殆どされておらず、代わりに値に対応する飛跡の画像が貼り付けられていた。そのため、グラフ化やデータ処理が行われていない。問題点を指摘した再提出では、数値化はほぼ修正されたが、約半数の人はデータ処理などが定量的解析に結びついていなかった。アンケートの結果は、回答率:90%、放射線シミュレーションは必要と思う:60%、興味を持てた:40%(持てなかった:49%)、EGS5を難しい:46%(難しくはない:29%)、であった。
【考察】結果の数値化(画像貼り付け)は「見れば分かる」的な感覚と推測でき、シミュレーションに対するインパクト・肯定的な現れとも考えられるが、アカデミックスキルが不十分(実践できない)事を意味しており問題である。アンケートの結果は、必要性は感じるが操作・取り扱いが難しく興味までは持てなかった、と解釈でき事から授業ではこれらの改善・工夫が必要と考える。