Japan Association for Medical Informatics

[2-G-2-OP7-6] 全国がん登録にも対応したがん登録実務者教育のための教材開発

坂本 千枝子, 外山 比南子 (国際医療福祉大学大学院)

【背景】全国がん登録が開始され、これまで院内がん登録経験のない者もがん登録に携わる機会が増えることが予想される。そこで、がん登録のための電子教材と登録システムの開発をしている。
【目的】がん登録実務者に加え、経験がないか浅い者でも全国がん登録項目を理解し、精度の高い登録ができるための教材を開発し、評価する。
【方法】倫理審査承認後、協力病院の診療情報を利用して大学院で開発した教材DBに化学療法や放射線治療情報の登録機能を構築する。教材DBに模擬カルテを登録後、がん登録情報を集約したサマリを作成する。模擬カルテはシェーマや画像診断の参照もできるようにする。サマリは診断名、国際疾病分類コード、手術名・処置、検査名の他入院経路、紹介元、退院経路と紹介先を加えた患者基本情報欄と、診療概要として主訴、現病歴、既往歴、合併症、家族歴、入院時身体所見、入院時検査所見、入院後経過、病理所見等の項目を設ける。院内がん登録と全国がん登録の項目の区別をつけ、解釈の難しい項目には定義参照機能をつけた演習用登録シートを作成する。
【結果】模擬カルテは乳房3、胃2、大腸、肺、肝、肝内胆管、膵、前立腺各1症例を登録後、各々サマリを作成した。がん登録実務経験者2名とがん登録未経験者4名の院生を対象に、胃がんの模擬カルテとサマリを使い、がん登録項目と胃がん症例の解説をした後がん登録演習を行い、それぞれの登録内容を確認後、教材の評価をした。
【考察】模擬カルテを電子的に作成したことで、それを基本症例としてがん登録実務経験に合わせたサマリ作成ができるので、サマリだけを使ったがん登録演習もできる。また、シェーマや画像参照により、実践に近い診療記録となる。登録シートに項目の定義参照機能をつけたことで、登録データの精度を担保できると考える。構築中のがん登録システム完成後は、データ登録から情報の活用まで一連の演習が可能になる。
【結語】全国がん登録の開始を受け、実践に即したがん登録教材を開発している。がん登録用サマリを用いてがん登録演習を行った結果、未経験者の間違えやすい項目が把握できた。