一般社団法人 日本医療情報学会

[2-H-1-OP6-1] 日本標準患者診療情報提供書に準拠したHPKI署名付き電子紹介状システムの開発の課題と解決方法

近藤 博史1, 持田 真樹2, 川井 達朗2, 寺本 圭1, 西村 元宏2 (1.鳥取大学医学部附属病院 医療情報部, 2.セコム山陰株式会社)

(目的)我々は2016年に日本標準患者診療情報提供書に準拠したHPKI電子署名付きの紹介状システムを開発した。開発における課題と解決方法を報告する。(方法)他県で運用しているPDFによるシステムを参考にし、日本標準患者診療情報提供書に準拠したHPKI電子署名付きの紹介状システムを条件にした。(結果)1)既存システムは診療所用電子カルテと基幹病院の電子カルテと密に連携し診療、検査の予約システムと連動していたが、我々の地域ではFAX予約が浸透し、診療所電子カルテや複数の病院電子カルテの改造に予算が取れなかったので、FAX運用との連携を前提にした。2)添付ファイルが必須と思われたが、ウイルス対策も必要で、ファイルをPDFとJPEGに限定しフォルダ内でウイルス確認をすることにした。3)日本標準患者診療情報提供書ではCDA用いるが、表示と電子署名確認においてPDFの使用が効率的に思われたので、管理のためのCDAと出力のためのPDFとした。4)HPKI電子署名にはXMLファイルのみ署名するEnveloped形式、署名内に内容を包含するEnveloping形式、署名と内容が異なるDetached形式の選択が必要であった。添付ファイルが存在するためにEnveloped形式は使えず、Enveloping形式ではVerifier無しでは署名付きファイルを参照できないため、Detached形式を採用した。この場合署名ファイルが別に作成されるため署名後は複数ファイルの管理が必要になった。5)紹介状データのサーバ管理を前提に連携システムへの患者登録を前提にした。6)長期署名可能にしたが運用は今後の検討事項にした。(結語)既存の紙運用に少数の電子システムの導入であり、普及までの苦労を乗り越える付加価値が重要である。また既存システムの改造なく開発し標準化をめざせると思われた。