Japan Association for Medical Informatics

[2-H-1-OP6-5] DPCデータの分析による救急医療係数低下要因の検証と改善のための取り組み

一瀬 貴宏, 服部 奈美子, 白井 伸恵, 山本 剛, 上村 幸司, 平松 治彦 (国立循環器病研究センター)

【背景と目的】
病院経営上、DPCの機能評価係数は重要な要素であるが、当院は重篤な循環器系疾患に特化した病院であり、効率性・カバー率など高い評価を得ることが難しい係数がある。しかし、高い評価を得られると想定される救急医療係数が2017年度係数公示により30%程度減少したことから、機能評価係数も大きく下がるなど、適切に病院の状況を分析し対策を立案することが求められている。
すなわち、当院の医療上の特性や状況を把握し、各係数の評価を適切に行い、病院収益向上を図ることを目的に、救急医療係数の低下要因を検証のためDPCデータの分析・評価を行った。
【方法】
まず、救急医療管理体制加算の現状を評価するために、2014年10月~2016年9月の救急医療管理体制加算の加算1と加算2の算定割合を評価した。次に、経過観察目的の入院を救急医療管理体制加算の対象から除外し、DPC分析ソフトを用いて2015年10月~2016年9月と2016年10月以降で救急医療指数の比較検討を行った。
【結果と考察】
救急医療管理体制加算の加算1と加算2の算定割合は、2014年10月~2015年9月期;加算1_60.0%、加算2_40.0%だったのに対し、2015年10月~2016年9月期;加算1_42.9%、加算2_57.1%と加算1と加算2の算定割合が逆転していた。経過観察目的の入院を救急医療管理体制加算の対象から除外した結果、救急医療指数が2015年10月~2016年9月;1031から2016年10月~2017年4月;1151と11.6%改善した。
救急医療指数は、経過観察目的の入院ではDPCコーディングによってはマイナスになること、同様の症例が多いほど救急医療指数が低値になることが確認できた。これらのことから、症例毎に加算の算定可否について、診療情報管理士が症例を把握し医師と相談し判断することが効果的であると考えられる。
【まとめ】
救急医療指数の減少要因について検証し、加算の対象を把握することで、一定の効果があることがわかった。今後、機能評価係数を構成する各係数についてリアルタイムに把握しながら対策を立案・実施する体制について整備する予定である。