Japan Association for Medical Informatics

[2-H-3-OP11-1] 医師を対象とした意識調査に基づく地域医療連携ネットワークにおける患者同意取得のあり方と情報の利活用の研究

吉田 真弓1, 田中 勝弥2, 山本 隆一1 (1.一般財団法人医療情報システム開発センター, 2.東京大学医学部付属病院)

<目的>地域医療連携ネットワーク(以降、地域NW)は200を超え、現在も増える傾向にある。運用に関しては基準となるガイドライン等はなく、参加患者への説明と同意取得状況は各々のポリシーによって違っている。多くの地域NWでは、共同利用という利用目的で他施設との診療情報共有を行ってきたが、今年5月の改正個人情報保護法の実施で、診療情報は「要配慮情報」となり、第三者提供は本人の明確な同意が必要となった。これらの現状を踏まえ、地域NWでの同意取得のあり方について検討を行う必要がある。
<方法>地域NW2カ所の管理責任者から、運用や同意取得に関してヒアリングし、それを元にアンケートを作成した。国内在籍の医師440名に対しWebアンケートを実施し、臨床歴や所属診療科等のプロフィール情報を取得した上で、施設の通信環境、他施設との診療情報のやりとりの状況、情報の管理方法、地域NWへの参加状況や同意取得の状況、医療等IDの必要性等を20項目質問し、結果の分析と考察を行った。
<結果>回答者の臨床歴は20年~30年未満が最も多く36%。他施設との情報連携の手段(複数回答)は、「電話やFAX」が最多で83%。地域NWへの参加は有が32%、参加同意取得の状況で最も多かったのが、「HP等で周知し問題があれば申出」という黙示の同意で32.4%、次いで「初診時に説明の上で紙面同意取得」が31%、「診療の一部であり説明や同意取得は実施せず」が25%、「初診時に口頭で説明」は8%だった。
<考察>医療・介護事業者における個人情報の適切な取り扱いのためのガイダンスでは医療に必須の第三者提供は黙示の同意で対応可能と明記されている。ただ、地域NWのシステムによっては診療を行う医師以外が閲覧可能な場合があり、運用ルールの厳格化が必要な場合もある。回答した参加医が十分に理解していない場合、半数以上が黙示の同意で地域NWに参加していると問題を起こしかねず、注意喚起が必要と考えられた。