Japan Association for Medical Informatics

[2-I-2-PS4-2] 徳島県全域EHRにおける厚生労働省標準規格対応の取り組み

玉木 悠1, 谷口 諭2, 松久 宗英2 (1.徳島大学病院 病院情報センター, 2.徳島大学 先端酵素学研究所 糖尿病臨床・研究開発センター)

徳島県内においては、電子カルテと連係した医療連携システムが、12病院において稼働している。何れも既製品であり、おおよそ電子カルテと同一のメーカ製品を利用している。内訳は、ID-Link(NEC)4病院、HumanBridge(富士通)8病院である。単独若しくは複数の病院で医療連携ネットワークを形成しており、現在4つのネットワークが稼働している。
徳島大学病院を中心に展開されているToDO-Netでは、EHRのユースケース増大には活用可能な情報量の拡充が最も必要と考え、注力してきた。情報量の拡充にあたっては、「既存医療連携システムは相互運用性が無く、異なるメーカ製であると相互接続できない」ことが大きな課題となっていた。病院側ではメーカが2社に分断されており病院間での情報共有の障壁となっていた。加えて、電子カルテ更新時のメーカ変更により、従来のネットワークに接続できなくなることや、対応費用の増大が懸念されていた。参照側の診療所等においても、システム毎に参照環境が必要であること、同一画面でシームレスに参照できないことから、不満が持たれていた。
これらを解決する方法として、徳島大学は2014年に総務省「在宅医療・介護分野における情報連携基盤の推進事業」において、国際標準規格である「IHE ITI統合プロファイル」のうち、XCA、PIX/PDQを用いて、ID-Link・HumanBridge間の接続を実証した。2015年にIHE ITI統合プロファイルが厚生労働省標準規格に採択されたことを受け、ID-Link、HumanBridge、診療所向けクラウドEHRを厚生労働省標準規格で相互接続することで、徳島県全域を網羅するEHR構想を2016年に企画、2017年に総務省「クラウド型EHR高度化事業」において実施しているところである。
厚生労働省標準規格に準拠したEHR整備により、異なるシステムドメイン間のインタフェース及びデータの相互運用性を確保し、異なる医療連携システムであっても同じデータを共有可能とする。また、集積したデータをPHRや研究用データベース等、異なる目的のシステムにも提供可能とすることを目指す。