Japan Association for Medical Informatics

[2-I-2-PS4-5] 地域のニーズを反映した「とねっと」のシステム更新

栗原 智之 (埼玉利根保健医療圏医療連携推進協議会)

とねっとは、埼玉利根保健医療圏医療連携推進協議会が運営している地域医療ネットワークシステムである。2012年4月に試行運用を開始し、同年7月から本格運用している。現在の参加住民数は約3万人であり、参加施設数は中核病院、診療所、検査機関等で合計111施設となっている。
とねっとの開発の背景には、埼玉県は国内でも最も医療資源が不足した地域であるという事情がある。とねっとの当初の開発費用は国が交付した地域医療再生基金で賄われ、運営費用は圏域内の各市町が拠出している。現在の協議会は会長を加須市長とし、圏域内7市2町の長および各郡市医師会会長や中核病院院長と県により構成され協議および決定等を行うなど地域全体で運営している。
医療資源不足をICTで補うことがとねっとには期待されており、現行のとねっとは病診・病病連携、検査予約、救急現場での患者情報参照、糖尿病連携パス、住民による健康記録、かかりつけ医カードの発行といった機能を持っている。
とねっとの有用性が認められたことから現在、来年度に向けて「とねっと2」への更新作業を行っている。厚生労働省はPeOPLe(Person centered Open PLatform for well-being)という国全体のICTプラットフォームを構想している、一方で経済産業省もヘルスケア産業の健康事業を後押ししており、これらの構想や考え方が目指すところはとねっと2の目指すところとも一致しており、これまでのとねっとの経験や考え方が国全体に貢献できると考えている。
次期システムの構築費用は地域医療介護総合確保基金、運営費用は7市2町が負担することが決定している。とねっと2では、これまでの運用経験から様々な地域ニーズに対応する形として、医療連携を促進するツールから、地域包括ケアを支えるシステム、また個人が自らの健康記録を元にして健康増進、予防に役立つツールに進化する予定である。