Japan Association for Medical Informatics

[2-J-1-PS2-2] DPCおよびSS-MIX2データの要約による症例登録のための予備情報の生成

猪飼 宏 (山口大学 医療情報部)

【背景】 症例登録研究が増加する中、データ入力作業に伴う医療者への負荷が増大している。負荷は大別すると(1)医療情報システム(HIS)内に分散する情報の検索、(2)要約、(3)転記、と考えられる。収集項目にはカテゴリ変数が多く、DPCやSS-MIX2をはじめとする正規化された既存情報の要約による自動生成を通じて一定の負荷軽減を図れるものと期待する。 【目的】 罹患率の高い胃がん・大腸がん手術症例を悉皆的に収集する大規模な症例登録プロジェクトに対して医療情報システム上での入力支援を行う上で、既存情報の要約による自動生成が可能な範囲を明らかにする。 【方法】 NCD消化器外科領域の医療水準評価術式用の症例登録フォーム(CRF)の各入力項目について、DPC様式1から基本属性のほか主病名/併存症/併発症・術式・重症度、E/Fファイルから処方・輸血・放射線治療、SS-MIX2から検査値、をそれぞれ要約し、捕捉できた情報の割合を算出した。 【結果】 登録項目125項目のうち、単純な要約のみで生成可能なデータは51項目(捕捉割合41%)。自動生成が困難であった項目には、生活習慣・身体所見(術前・術中)・画像所見・術中所見・術後合併症が含まれる。 【考察】 データ要約を行った結果、現在の入力者による症例登録のデータ入力負荷軽減の効果測定は今後の課題である。治療内容に基づく病名推測によりデータ捕捉割合には引き続き改善の余地があるが、情報の正確性について検証を要する。症例登録研究におけるデータの質改善や入力効率化のためには診療データの流れを俯瞰的にデザインし、電子カルテ内一次情報との連携や、手術記録や退院サマリの標準化等を通じて一層の負荷軽減を進めることが期待される。