一般社団法人 日本医療情報学会

[2-J-2-OP9-4] 血液ガスを自動解析する病院情報システム統合型診断支援システムの開発について

西野 克彦1, 赤澤 宏平2, 山本 卓3, 成田 一衛3 (1.新潟県済生会三条病院, 2.新潟大学医歯学総合病院 医療情報部, 3.新潟大学大学院 腎膠原病内科)

酸塩基平衡障害の診断には、血液ガスデータを生理学的アプローチ(Stepwise Analysis)により解析することが有用である。しかし、血液ガスデータの臨床医の解釈は十分でないという海外の報告が散見される。Stepwise Analysisの複雑なアルゴリズムをプログラミングした単独で稼動するアプリケーションは開発されてきたが、データ入力の必要性からか、臨床の現場で利用されているとは言い難い。また、病院情報システムに統合されたシステムは報告されていない。そこで、病院情報システムと連動し、血液ガスデータを自動収集し、生理学的アプローチを適用した解析結果を診察記事として出力する診療支援システムを開発した。
 血液ガスデータは病院情報システム(MegaOakHR,NEC社)から定期的に自動収集され、The New England Journal of Medicineの生理学的アプローチに関するレビューを元に作成したアルゴリズムで解析し、3個まで並存しうる酸塩基平衡障害を判定、その酸塩基平衡障害に対応する代表的な鑑別診断を列挙し、電子カルテの診察記事として表示されるようにした。開発はJavaで行い、病院情報システム内の端末内に配備し、システムの稼働を確認した。アルゴリズムの検証は、酸塩基平衡分野の代表的な参考書の事例を用いて行った。
 診察記事として自動的に解析結果が表示されることで血液ガスデータの解釈が正確になり、さらに鑑別診断が列挙されることで臨床診断の質の向上にも寄与すると思われた。