Japan Association for Medical Informatics

[2-J-3-OP14-5] 異なるPHRシステム連携における問題と課題の考察

藤井 進1, 野中 小百合1, 山田 クリス孝介2, 加藤 省吾4, 森川 和彦3, 矢作 尚久5, 末岡 榮三朗1, 阪本 雄一郎2 (1.佐賀大学医学部附属病院医療情報部, 2.佐賀大学医学部救急医学講座, 3.東京都立小児総合医療センター 臨床研究開発センター, 4.国立成育医療研究センター臨床研究開発センターデータ管理部データ科学室, 5.慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科)

【目的】
 自らの医療情報を自らが管理し、その個人の状態を把握する上でPHR(Personal Health Records)は複数の異なるシステムを利用することが予想される。PHRシステム間でデータを共有することも重要であるが、その設計において差異が生じ円滑な連携利用が困難な状況も考えられる。本研究は実際にサービスインしている2つのPHRシステムでID連携を実施し、そこで得た問題点と課題を報告する。

【方法】
 佐賀大学医学部附属病院が提供しているMIRCAサービスと、アルム社が提供しているMySOSをID連携し、利用者が異なる2つのPHRシステムを自動でID連携し円滑に利用できるようにする。

【結果】
 各PHRシステムにお互いを起動するアイコンを配置。MIRCAからの連携はMIRCA-IDをMySOSに送信し、MySOS側が対応表で変換し認証する。MySOSからの連携はMIRCA-IDに変換し送信する。双方IDがセットされた状態でパスワード入力を求める方法で連携した。

【考察】
 設計思想において、MIRCAは高齢者が家族の共通のデバイスを利用できるよう、1端末で複数人が利用できるようにしている。一方でMySOSは1端末1利用者である。共通デバイスを利用する場合、他人のIDが連携してしまう可能性がある。また片方のIDは取得していない場合もあり、MySOS側が未取得の場合は利用許諾ページに誘導した。MIRCA側が未取得の場合は、本来であれば口頭で説明する内容を表示し、仮受付状態にして来院時にIDを迅速に発行できるようにした。
 医療情報を表示するMIRCAと健診やヘルスケア情報を表示するMySOSの連携は相互補完関係であり有用性は示されたが、デバイスをどのように利用するかという設計思想の乖離は、利便性だけでなく異なる他人のデータを連結してしまう可能性がある。今後はこうした設計思想における共通化も必要と思われる。

【結語】
 さらに複数のPHRシステムを連携し、設計思想における課題を抽出する予定である。