Japan Association for Medical Informatics

[2-K-1-HD1-2] 2型糖尿病患者および予備群向け自己管理支援アプリGlucoNoteの利用を継続した5症例

高野 暁乃1, 脇 嘉代1,2, 山口 聡子1, 藤生 克仁1, 木村 滋子1, 富澤 修子1, 永友 利津子1, 児玉 和代1, 中島 亮4, 豊岡 継泰4, 門脇 孝2, 大江 和彦3 (1.東京大学大学院医学系研究科健康空間情報学講座, 2.東京大学医学部附属病院糖尿病・代謝内科, 3.東京大学大学院医学系研究科医療情報経済学分野, 4.株式会社NTTドコモ ライフサポートビジネス推進部 ヘルスケア事業推進)

【背景】
我々は2型糖尿病患者および予備群の自己管理支援を目的としたアプリ(GlucoNote)を開発し、臨床研究を実施中である。本アプリは測定・記録した血糖値/体重/血圧/歩数/食事をグラフによって可視化し、自己管理による健康的な生活習慣の維持を支援する。アプリによる効果を得るためには、継続した使用が必要であるが、人によるサポートの無いアプリでは継続率が低いことが報告されている。

【目的】
 2型糖尿病患者および予備群向けのアプリGlucoNoteの長期継続利用者における測定データ変化を検討する。

【方法】
 GlucoNote配布開始から1年間の研究参加者のうち、食事登録を180日以上継続した参加者について、体重、空腹時血糖、血圧の登録状況と変化を検討する。登録期間の最初と最後の各7日間の平均値をt検定で比較した。

【結果】
 1年間でのGlucoNote研究参加者739名のうち、食事登録者数は282名、観察期間180日以上の230名のうち、180日以上食事登録を継続した参加者は25名、継続率は10.9%であった。この25名のうち、食事登録率50%以上かつ体重・空腹時血糖・血圧の登録率が20%以上の参加者は5名であった。この5名について、在宅測定データの経時的変化を解析したところ、体重は2名、空腹時血糖は1名、血圧は3名で有意な改善がみられた。

【考察】
長期継続者5名のうち4名で、体重、空腹時血糖、血圧のうち少なくとも1項目で有意な改善がみとめられ、アプリの使用により、生活習慣の改善が促進され、効果があらわれた可能性が高いと考えられる。

一方で、アプリの継続率は低く、継続率の向上のためにサポートが必要であると考えられる。

【結語】
アプリの長期継続者では在宅測定データの改善がみられた。今後、継続率向上のためのサポートを検討する必要がある。