Japan Association for Medical Informatics

[2-K-1-HD2-3] 院内データリアルタイム見える化サーバの構築による病院業務改善の試み

堀内 亮佑1, 寺島 健史1, 阿部 勝也2, 山岸 大輔3 (1.新潟大学地域医療教育センター 魚沼基幹病院, 2.株式会社BSNアイネット, 3.株式会社富士通新潟システムズ)

【目的】入退院・空床情報等のデータを電子カルテ端末からほぼリアルタイムで閲覧可能とするシステムを構築し、システム部門・一般職員の業務改善の効果を検証する。

【方法】HISネットワーク内にPythonが動作する専用サーバを設置し、サーバにインストールした富士通Symfoware clientからJDBC接続した富士通データウェアハウス(DWH)データを院内770台のHIS端末及び500台のスマートフォンのWebブラウザから閲覧可能とした。表示データは空床情報、病床利用率、外来患者数、入退院患者数、再入院率、紹介逆紹介率、 外来収入・単価、院内死亡率、褥瘡発生率、転倒率、B型肝炎ウイルス(HBV)再活性化対策アラート対象患者一覧等で、Webブラウザの非同期通信機能により数分毎に最新データに自動更新される。

【結果】見える化サーバの構築により、これまで日報等にて日々作成・配信していた各種データがリアルタイムで病院職員に閲覧可能となり、システム部門業務が大きく軽減された。加えて、1)空床情報がリアルタイム表示されることでベッドコントロール業務がより効率的に確実に行えるようになり平均病床稼働率の上昇に貢献した 2)診療科別紹介率・逆紹介率のリアルタイム表示により逆紹介率上昇に貢献した 3)HBV再活性化対策アラートを従来の2週間毎から1日毎の自動出力が可能となり高リスク患者へのアラート迅速化に貢献した、等の効果が確認できた。

【考察】院内データ見える化サーバの構築は、システム部門の日常業務軽減に加えて、誰もが電子カルテ端末からいつでも最新のデータにアクセスできるようになったことで、院内データがより身近に感じられるようになり、経営陣のみならず一般職員の業務改善への意識向上をもたらした。今回のデータ以外にも様々な指標が病院には存在する。経営管理部門や診療部門と連携してより効果的な「見える化」を推進していきたい。