一般社団法人 日本医療情報学会

[2-L-1-PP2-6] 病院情報システムの利用者心得(HI-UP)の医師事務作業補助者研修への応用

辻岡 和孝, 中川 肇 (富山大学附属病院医療情報部)

1.はじめに
平成28年度の診療報酬改定において、特定機能病院において医師事務作業補助体制加算が算定可能となった。富山大学附属病院では医師事務作業補助者(以下、ドクターズクラーク)を各病棟に配置することとなった。算定要件として配置後6か月以内に32時間以上の研修を修了する必要がある。今回、医療情報技師育成部会が開発した「病院情報システムの利用者心得(以下、HI-UP)」を、研修に応用したので紹介する。
2.方 法
ドクターズクラーク20名に対し、HI-UP講習会を企画した。グループワーク形式を採用し、4つの班に分け、各班にファシリテータ役を付けた。講師、司会進行は、講師養成セミナーを受講した医療情報技師が行い、ファシリテータ役は電子カルテベンダの医療情報技師(内2名は上級医療情報技師)が行った。班毎にケーススタディを用意した。HI-UP解説書を参考にし、事例に応じたキーフレーズを設定後、検討した対応方法を全体発表会にてプレゼンテーションを行う。講習会後はWEBサイトにて確認テストを実施し、合格者はHI-UP認定証を受領する事で修了となる。
3.結 果
修了者にアンケート調査を実施した。HI-UP受講後に意識が向上したと回答した割合は100%であった。また医療情報技師の認知度は30%であったが、受講後の資格取得に興味を示した修了者は90%であった。
4.結 論
ドクターズクラーク研修にHI-UPを応用することは効果があった。ドクターズクラークは、患者対応、資料作成等の作業を通じ、セキュリティや個人情報保護の知識が求められる。そのため講師が、ケーススタディの事例を検討する際に、幅広い知識が求められる。HI-UPは集合教育とグループワーク形式に対応が可能であるが、グループワーク形式を採用し、医療情報技師のファシリテータがつく事で認知度の向上及び医療情報システムを利用する心構えの知識の共有が図れた。