Japan Association for Medical Informatics

[2-L-2-PP3-4] 周術期口腔機能管理における歯科衛生士業務内容と口腔がんとの
共起関係について

末永 しずえ1, 丸山 陽市2, 柴原 妙香1, 平尾 直美1, 藤原 卓2, 本多 正幸3, 梅田 正博4 (1.長崎大学病院医療技術部歯科衛生士室, 2.長崎大学病院医療情報部歯科分室, 3.長崎大学病院医療情報部, 4.長崎大学大学院医歯薬学総合研究科医療科学専攻口腔腫瘍治療学分野)

【目的】長崎大学病院口腔外科では、全身麻酔下で口腔領域の手術を受けるがん患者に対して周術期口腔機能管理を行っている。周術期口腔機能管理とは、がん患者の誤嚥性肺炎や感染症予防と化学療法、放射線療法に対する口腔粘膜炎や口腔乾燥を予防するために行うものである。口腔機能管理の周術期専門的口腔衛生処置を行った場合、歯科衛生士業務内容を記載しているが、業務記録の2次利用を行う場合には表記揺れの問題が生じる可能性があるため、現在、テンプレートによる入力を行っている。そこで、本研究では歯科衛生士業務の効率化のために、病名と業務内容との関連性を可視化する目的でテンプレート解析を行ったので報告する。
【対象および方法】対象は2015年1月から2017年5月まで歯科衛生士が記載したテンプレート入力による歯科衛生士業務記録をデータウェアハウス(DWH)より抽出し、KH Coderを用いたテキストマイニングにより主病名と口腔衛生処置との共起関係を求め、Jaccard係数0.1以上についての共起ネットワークを作成した。
【結果および考察】DWHより抽出した、「周術期専門的口腔衛生処置」に関する業務記録件数は1.275件、総抽出語数は5.474語、異なり語数は81語であった。作成した共起ネットワークでは2つのグループ形成が認められ、歯肉癌、舌癌では粘膜ケアにおけるスポンジブラシとの強い共起関係が認められた。また、口腔乾燥においては、保湿剤、ジェル、ペプチサル、水、清拭との共起関係が認められた。共起ネットワークは歯科衛生士業務内容と病名との関連性を可視化するのに有効であると考えられる。
【結論】歯科衛生士業務記録の共起ネットワークにより歯肉癌、舌癌と粘膜ケアの関連性が明らかになった。今後の歯科衛生士業務において、業務の現状を把握して業務改善を行うには、DWHへの歯科情報の蓄積と2次利用が重要である。