一般社団法人 日本医療情報学会

[2-L-2-PP4-1] 附属病院医療システムを大学仮想サーバで担った事例

中原 孝洋1, 永松 浩2, 守下 昌輝3, 林 政成4, 福泉 隆喜1, 久藤 元5, 冨永 和宏6 (1.九州歯科大学共通基盤教育部門, 2.九州歯科大学総合診療学分野, 3.九州歯科大学歯周病学分野, 4.九州歯科大学事務局病院事務部, 5.九州歯科大学副理事長、CIO, 6.九州歯科大学顎顔面外科学分野)

はじめに
九州歯科大学附属病院では、平成29年3月に外来部門を電子カルテに移行した。これに伴い、文書管理及び画像管理システムを導入し、加えて、検体検査及び放射線部門システムの更新を行った。さらに、平成17年から運用している入院カルテ管理システムの移行も実施した。
当院の規模は、外来500人/日、入院のべ750人/年という規模であり、システムの導入予算を極限まで減らす必要がある。このため、大学で設置している仮想サーバに、これらのサーバを収容することを試みた。

方法
電子カルテ化は、既設の医事発生源入力システムを拡張することで、サーバの追加はなかった。放射線部門のPACS及びRISについては、個別にサーバを設置した。それ以外の4サーバを仮想サーバにインストールした。
大学の仮想サーバ環境はVMwareで構築され、これ以前に18サーバが稼働していた。電子カルテ化に並行して、バーチャルスライドや図書館情報システムの構築も実施し、計25サーバを収容することとなった。
取り扱う情報量が増加するため、仮想サーバとバックアップストレージは10Gbpsへと変更した。附属病院と大学とは、ネットワーク構築当時の2Gbps相当のままとした。

結果
ベンダが複数に渡り、学内での担当部局もまたがるため、日程等の調整や導入、動作確認に煩雑さがあった。仮想サーバの扱いに不慣れなベンダもあり、責任分界点の捉え方に、相当の差異が見られた。
動作自体は導入当初より安定しており、特に問題は起きなかった。また、懸念されたパフォーマンス低下も発生していない。

考察
仮想サーバの使用は、ハードウェアのコスト圧縮の手法として有用である。一方、法人組織内でも管理部局が異なることによって、さまざまな問題が生じ、その解決に相当の労力が掛かった。
今回の導入により、小規模病院における仮想サーバの使用について、一定の知見を得ることができた。