Japan Association for Medical Informatics

[3-A-3-CS4-5] ヘルスケア分野における医療ビッグデータの利活用ー千年カルテプロジェクトー

吉原 博幸1, 粂 直人1, 小林 慎治1, 荒木 賢二2, 黒田 知宏3 (1.京都大学・宮崎大学, 2.宮崎大学, 3.京都大学)

2014年3月に次世代医療ICT基盤タスクフォース(内閣官房)が設置され、主として医療情報の2次利用に関する検討が開始された。この組織は、内閣総理大臣を本部長とする「健康・医療戦略推進本部」の下部組織の一つで、1年間の検討の末、次世代医療ICT基盤協議会(以下、協議会)に昇格。2015年4月2日に第1回の会合が総理官邸(内閣府)で開催された。協議会のプロジェクトの一つとして千年カルテプロジェクトが立ち上がり「大規模健康・診療データの収集・利活用」をテーマとしている。
2015年9月、国立研究開発法人日本医療研究開発法人(AMED)研究公募事業に正式採択決定(研究題目:全国共同利用型国際標準化健康・医療情報の収集及び利活用に関する研究)。本研究は、四年後の2019年度の事業化を目指し、すでに2002年以来、別々に稼働していた京都、東京、九州等のEHRサイトを、新しく開発・設置する共同利用型EHRセンターに集約し、その他の地域からも多数の医療機関等の参加を得、このデータセンターを共同利用することで、データの安全性と運営費の低減をめざす。本プロジェクトでのデータ保存規格は様々であるが、最終的にはISO13606に集約している。また、これらのデータを法律に則って公正・安全に2次利用し、その収益でEHRを運営し、事業の継続性を担保する(脱補助金、脱研究費)。2018年度に施行が決定した医療ビッグデータ法(医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律)に沿って新しく設立する二つの事業体(1次利用:EHR運営機関、2次利用:匿名加工運営機関)が運営される予定。1990年代からの懸案だった診療データべ−スの本格的運用とデータの二次利用により、連携医療、臨床研究、創薬、公衆衛生等への活用が期待される。