[3-A-4-CS7-1] 臨床現場での改正個人情報保護法への対応
2017年5月に全面施行された改正個人情報保護法は、施行組織を個人情報保護員会に一本化したこと、個人識別符号、要配慮情報および匿名加工情報の概念を導入したこと、オプトアウトによる第三者提供に制限を加えたこと、トレーサビリティの確保を目指していること、罰則を強化したことが主な変更点である。特に個人識別符号の概念が導入され、ゲノムシークエンスが原則含まれることと、医療情報のほぼすべてが要配慮情報になったことは、個人情報保護の観点からは望ましいが、連携医療が主体の現在の医療への影響が懸念される。トレーサビリティの確保も本来は名簿屋対策で導入された規制であり、それ以外には適応されるべきではないが、法自体に書き込まれたので、医療に必須な第三者提供が日常茶飯事である医療の現場では影響が懸念される。これに対して個人情報保護委員会と厚生労働省は個情法の実施指針である「医療介護事業者等における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」を公表した。このガイダンスの中で、従来から使われてきた概念ではあるが、「黙示の同意」の意味を明確化し、医療の遂行に伴う第三者提供などを受診に伴う当然の同意であることを明確にし、法令による行為や、本人になりかわり行う行為などを適用し、第三者提供や、トレーサビリティ関連義務を医療の提供と一体として考えられる部分のほぼすべてを免除した。医療の提供に直接関与する部分に関しては改正個情法の影響はほとんどないと考えられる。しかしその一方で、医療の提供に直接関与していると言えない場合、および海外への第三者提供に関しては十分注意する必要がある。本大会企画では上記の点を詳述する。