Japan Association for Medical Informatics

[3-B-1-PS5-1] GS1標準バーコードと医療製品を取り巻く世界の規制

植村 康一 (一般財団法人流通システム開発センター(GS1 Japan))

GS1(ジーエスワン)は、サプライチェーンの効率化、システム化を推進する国際的な流通システム標準化機関である。GS1が定めるコードやバーコードは国際標準として全世界で利用されているが、特に医療分野においては、流通の効率化に加えて、医療の安全と質の向上のための利用が進められている。日本は、世界に先かげて医療用医薬品、医療機器のバーコードとして、有効期限やロット番号の表示が可能なGS1データバーやGS1-128シンボルを採用し、それらの表示を進めてきた。その結果、現在では医療用医薬品は調剤包装単位にまでバーコードが表示されるようになり、医療機器もほとんどの包装単位にバーコードが表示されるようになった。医療機関では、取り間違い防止やトレーサビリティのため、これらのバーコードが利用されだしている。

一方、海外各国においても、医療用医薬品、医療機器ともに、偽造品の流通防止やリコール時の回収など、医療の安全性向上を目指した様々な制度や規制が整えられている。医療用医薬品については、米国は2015年1月より「医薬品サプライチェーン安全保障法」が施行され、EUも2016年2月に「偽造医薬品対策指令」への対応のための具体的な運用ルールを公表した。また、医療機器についてはUDI(Unique Device Identification:機器固有識別)の考え方の下、2013年9月に米国FDAが「UDI規則」を、2017年5月にはEUが新しい「医療機器規則」を公表した。これらはいずれも製品や包装単位へのバーコード表示を義務とするものであり、そのためのコード体系やバーコードにはGS1標準の利用が前提となっている。
本ワークショップでは、世界の医療分野で利用が進められるGS1標準の仕組みと各国の規制状況に関して発表する。