Japan Association for Medical Informatics

[3-B-1-PS5-3] 総合滅菌管理システムでのGS1標準の利活用~GS1の活用でビッグデータからAIに向かう、これからの手術安全管理システム~

笠松 眞吾1, 石本 洋子2, 諏訪 万恵3, 江守 直美4, 佐藤 一史5 (1.国立大学法人 福井大学 医学部, 2.国立大学法人 福井大学 医学部附属病院 看護部・滅菌管理部, 3.国立大学法人 福井大学 医学部附属病院 看護部・手術部, 4.国立大学法人 福井大学 医学部附属病院 看護部, 5.国立大学法人 福井大学 医学部附属病院 手術部・滅菌管理部)

【背景】手術や処置で使用する医療機器を単品管理し安全管理、トレーサビリティの確保と手術物品管理システム構築が手術医療の実践ガイドラインに示されている。しかし手術用鋼製小物の個体使用履歴管理は、普及が進んでいない。手術の質と安全を確保するには、総合的な手術安全マネジメントシステムの早期導入が必須である。
【目的】固体識別コードにGS1を採用しダイレクトパーツマーキングにて鋼製小物のトレーサビリティを確保する個体管理システムの常時全面運用を行う。手術前後作業の効率化を進め、医療安全に関連するビッグデータを抽出し品質保証体制の確立と運用を目的とする。
【方法】総合滅菌管理システムを用いて組立・術後カウント及び手術セットとコンテナのピッキング作業履歴を自動記録しインシデントに繋がる不安全事象を集計する。大型タッチパネルやスマート端末を用いて作業の確認やアラームを表示し、手術準備では端末に表示された手術予定を起点として確実な手術準備及び回収作業を遅滞なくスムーズに行うことができるシステムを構築する。
【結果】2014年9月の運用開始から2017年6月26日の期間において、滅菌管理部での手術セット組立行程では、879778回の2次元コード単品スキャンを行った。手術直後の回収カウントでは、848739回のスキャンを行った。手術カートへのコンテナ、セットのピッキング作業では、57480回のスキャンを行った。
【考按】データの解析により、システム導入時から鋼製小物の単体管理作業で約4800時間の省力効果とセット組立ミスの撲滅の両立が証明された。ピッキング行程では、約1000時間の効率化が可能になった。本システムでは、各作業時間とともに機器のイベント発生時間もIoT端末により、すべて記録されているためデータをディープ・ラーニング解析することでAIとして医療安全に活用することが可能になる。