Japan Association for Medical Informatics

[3-B-2-PS10-2] 看護実践用語標準マスターの開発・メンテナンスと活用可能性

渡邊 千登世 (東京大学大学院工学系研究科 化学システム工学専攻 品質・医療社会システム工学寄付講座)

【背景】 MEDIS-DCから無償提供されている「看護実践用語標準マスター(行為編・観察編)」(以下マスター)が、2016年2月に厚生労働省標準として承認された。マスターを効果的に医療現場で活用するためには、まず、日々進歩していく医療技術に対応した看護観察や看護行為の用語を適切適宜追加する必要がある。さらに、これらの看護実践用語を活用して、看護計画から実施記録を作成し、実践の評価に結びつける仕組みが必要である。
【目的】(1)「看護実践標準用語マスター」の用語の種類や構成などについて概説し、メンテナンスの経過について情報提供する。
(2)実際に電子カルテへ組み込むための方法として、標準的な看護計画となる看護ナビコンテンツを開発した。コンテンツの概要とメンテナンス等について紹介する。
【内容】
(1)われわれは、「看護実践用語標準マスター(行為編・観察編)」の、メンテナンス作業班(主査:水流聡子)として、行為編と観察編に採用すべき用語の検討や整備を、ユーザーの要望を取り入れながら毎月実施している。その他の標準的な用語やアウトカム指標との関連について検討すると共に、実際に医療現場での使用しやすさにも留意している。2016年12月の時点で、行為編は2,909語、観察編は4,408語が整備されている。
(2)看護実践の質のマネジメントには、アウトカムを明示する必要がある。そのためには、インプットとプロセスとなる、看護計画や実践が示されなければならない。電子カルテ上での質マネジメントのためには、標準的な看護実践用語を用いて、標準的な構造をもった看護計画、そしてその結果を標準的な用語で示すという流れが必要である。そこで、われわれは、看護実践用語標準マスターを用いた看護ナビコンテンツを開発した。コンテンツは、多施設で活用できるように標準化作業が行われている。施設内においては、医師やその他医療者に看護師が生成する患者の情報を利活用してもらえる可能性が高まると考えている。