Japan Association for Medical Informatics

[3-B-2-PS10-3] 患者状態のみまもり:看護の観察とアセスメント

大森 美保 (埼玉医科大学)

看護の観察の目的のひとつは,患者の状態監視であり,特に急性期病院においては異常の早期発見・合併症予防に重要である.水流らによる臨床看護知識コンテンツ(以下,看護ナビ)の開発により,看護観察は「疾患に起因する症状」,「手術および侵襲の強い検査・処置に起因する症状」,「投与された薬剤による有害事象」の3つの観点から成り立っていることが明らかとなっている.

看護実践の質保証のためには,1.行うべき看護が実行計画として示され,2.それらが確実に実践され,3.当該実施記録が残されていることが必要である.ある局面の患者に対して必要とする看護が論理的に導出されていれば、当該局面におけるより正しい看護計画を理解することができる。また当該計画と実施の差異を分析することで、実施した看護の評価をし、改善へと導くPDCAサイクルを実現できると考える。このように看護実践の適切性について評価し、改善するしくみを構築するためには、行うべき看護の実行計画と看護記録の存在が重要となる。水流らが開発した看護ナビの構造は、ある患者状態に対する看護観察と看護行為を、疾患症状・合併症・有害事象の観点から論理的に導出したものであるため、行うべき看護の実行計画を構成しているといえる。

この3つの観点からなる看護ナビの観察項目を用いて、患者に実施された看護観察の質評価の可能性を検討した。現場で記録された看護計画と看護実施について実際に記録された内容と、標準化された看護ナビとを比較検討することにより、看護計画と看護実践の現状の乖離や、標準と比較した際に十分な看護が提供されていない実際とその具体的な内容が客観的に示される結果となった。
実際の看護記録結果から抽出されたデータを基に、見えてき看護の現状と,看護ナビの活用可能性について提案する。