Japan Association for Medical Informatics

[3-B-2-PS10-6] 蓄積データの後利用による重症化予防の質改善

須藤 久美子, 梶原 優子, 佐野 美和子 ((株)麻生 飯塚病院)

当院には1,000名を超える看護師が働いている。看護師一人ひとりが患者状態に応じたケアを計画し、タイムリーに実施・記録することで看護の質が保証される。
当院では、看護ナビコンテンツを「リスクの想定」と「未然防止策」が組み込まれた設計図と定義している。治療プロセスチャートを医師と共に作成し、効率的にケアが実行されるように設計・実施・記録ができることを目指している。これを使用することで看護師の経験年数や力量に左右されずに一定の看護サービス提供が可能になった。同時に情報集の時間の短縮も図る事ができ、短時間勤務者の患者受け持ちも可能になった。また、従来の看護計画では不明瞭だった観察・ケア行為の根拠も見える化され看護展開を振り返る教育ツールとして活用できるようになった。さらに看護実践用語標準マスタ(MEDIS)を用いることで蓄積データからケアの質改善が可能になった。
今回、入院後に敗血症性ショックを発症し、ICUに入室となった症例を振り返り、未然防止策につながるタイミングやポイントがないかと考え後ろ向き調査を行った。急変の前段階にある患者の多くは、何らかのサインを発している。また、そのサインは様々であるが、調査の結果から敗血症性ショックに至る前の徴候として、「体温異常」「呼吸異常」「食事量変化」「意識障害」4つを抽出した。これらの知見を全部署へ水平展開したことで、早期発見・早期介入が可能になり重症化予防への質改善につながった。この過程を紹介する。