Japan Association for Medical Informatics

[3-B-3-OP21-2] 病院情報システムの中小規模民間病院経営に対する寄与への考察

谷 祐児1, 藤原 健祐2, 鈴木 哲平2, 小笠原 克彦2, 廣川 博之1 (1.国立大学法人旭川医科大学, 2.北海道大学)

背景および目的医療行政が大きく変わりつつある中で,中小規模民間病院においてはその存続を含め経営自体が大きな課題となってきている.病院情報システム(HIS)を導入する医療機関数は年々増加しているが,その導入目的は業務効率化のみではなく病院経営への寄与も期待されている.病院経営におけるHISの役割は大きいと考えられるがその役割や関係性はこれまで明らかにされていない.これまでの北海道を中心とした中小規模民間病院経営改善におけるアンケートおよびヒアリング調査結果より,病院経営改善におけるHISの寄与についていまだ十分な活用はされていないものの,その期待は大きくその重要性が判明した.しかしながら,前回のアンケートおよびヒアリング調査は対象に地域の偏りがあった.そこで,今回はアンケート調査対象を全国へと広げて実施し,その分析結果からHISと病院経営の関係性について考察した.【方法】アンケート調査は,全国200床未満中小規模民間病院4528施設の中から,20床以上100床未満2458施設中1900施設,100床以上200床未満2070施設中1600施設を無作為に抽出しアンケート用紙を郵送した.調査内容は,施設概要・経営状況・経営対策について全64項目について調査を行った.【結果及び考察】アンケート調査は265施設(回答率7.6%)から回答を得た.主なIT設備導入は,PACSが主でありオーダリングや電子カルテの導入率は3~4割程度と前回や従来の他の調査とほぼ同様の傾向であった.また,中小規模民間病院においては経営分析自体が浸透しておらず,また,一部の病院においてはHISを病院経営に対して活用していたが,全体としては十分に活用されているとは言えないことが判明した.しかしながら,HISへの期待は大きく病院経営において経営関連情報収集や業務効率化のためにHISの重要性が確認できた.