一般社団法人 日本医療情報学会

[3-B-3-OP21-4] 急性期医療圏としての東海3県(愛知、岐阜、三重)における医療資源の状況解析と将来的な有効活用の方策

山田 和成, 藍原 雅一, 亀崎 豊実, 石川 鎮清 (自治医科大学大学院)

【背景】
2025年を見据え、国は〝県単位及び二次医療圏″ごとの医療完結を主流とした地域医療構想の策定を進め、医療機関の役割分担を推奨しているが、東海3県(愛知、岐阜、三重)の急性期医療は、県単位及び二次医療圏″を越えて、愛知県名古屋市に集中しており、実際は県域を越えた医療提供を行っている。
このため、人口密度を基にした地域医療構想をそのまま推進すれば、少なくとも急性期医療においては「机上の論」となり、限られた医療資源を有効活用できないと危惧される。
  本研究では、東海3県という少し広範囲な急性期医療圏を設定して、医療資源の利用の現状を明らかにし、将来的な有効利用の方策について検討した。
【方法】
  DPCデータを基に、NDB、国保データ、後期高齢者医療保険のヘルスケア計画、救急搬送データ、人口統計等をクロス集計解析し、得られた結果をGISを用いて可視化し、東海3県の急性期病院の現状と問題点を検討した。
また、人口の将来推計から、東海3県の急性期医療の今後の変遷についても予測した。
【結果】
  東海3県という少し広範囲な急性期医療圏を設定することにより、「2つの隣接する大学病院の半径5キロ圏内に3次救急病院も含めた急性期病院が20件もひしめく地域」や「2次救急病院の半径50キロ圏内に急性期病院が1件もない地域」があるなど、医療資源の不適正な分布が認められた。
  現在各県が策定してきている地域医療構想は、人口分布による医療圏分析の結果であるが、急性期医療の面から考えると、さらに詳細な範囲の“搬送(移動)時間”による医療圏分析が必要不可欠となる。