Japan Association for Medical Informatics

[3-C-2-PS11-1] 地域医療連携システム「さどひまわりネット」を用いた医療介護統合提供体制の模索

佐藤 賢治 (新潟県厚生連佐渡総合病院)

新潟県佐渡市は二次医療圏ながら高齢化率41%を越え、医療介護従事者も若手を確保できずに絶対数不足と高齢化が進んでいる。少ない資源で医療介護提供を維持し、従事者を確保していくには医療・介護施設の“機能する役割分担”と行政を含む強力な協働体制が欠かせない。
H25年より地域医療連携システム「さどひまわりネット」を稼働させた。病院・診療所・歯科診療所・保険薬局・介護事業者・行政を利用者とした多職種連携システムで、医療情報は電子カルテに頼らず自動収集され、訪問看護や薬局、介護事業者も参照可能、介護側から生活能力等の情報を提供できる双方向連携を基本としている。収集情報を時系列で比較表示でき、セキュアなメールや患者毎の掲示版などコミュニケーション機能も備え、単純な参照ツールではない。協働には“顔見知り”であることが要であり、参加制限がないユーザー会、紙媒体ニュースなどICTを離れた取り組みを積極的に行っている。現在の住民同意率は25%、施設参加率は6割と高いが、全職種で利用の頻度・仕方に個人差が大きく、施設間コミュニケーション不足に起因する不満も蓄積している。
資源不足、相互不満に喘ぐ現状への解決策として、島内の資源を一元的に調整する仕組みを行政とともに検討している。重症のために高度二次病院へ入院したとしても地元をよく知る地域の病院へ早期に転院、ここから退院する。要介護支援の場合はまず受入可能な介護資源を利用し、最終的に患者側が要望する生活拠点に戻る、など状態・要望に応じて動的に患者を移動させる体制である。また、資源が乏しい中での在宅医療を「受診頻度を減らすこと」と捉え、診療密度の低下をコメディカルと介護の力で補完できないか検討している。患者情報の共有が前提となるが、セキュリティを担保するさどひまわりネットがその任を担う。こうした医療介護統合提供体制の構築により、「人が育つ、面白い佐渡」を目指したい。