Japan Association for Medical Informatics

[3-C-2-PS11-2] 医療と介護を繋ぐ!ヘルスケア・ソーシャル・ネットワーク「Net4U」

三原 一郎 (山形県鶴岡地区医師会)

山形県鶴岡地区では、16年以上にわたり、地域電子カルテNet4Uを運用している。2012年には、医療と介護を繋ぐヘルスケア・ソーシャル・ネットワークNet4Uとして、おもに在宅医療における多職種協働を支援するツールとして全面改訂された。Net4U参加施設は医療機関、薬局、訪問看護ステーション、居宅介護支援事業所、地域包括支援センター、老人施設など多岐にわたり、ユーザの職種別でみると、ケアマネジャーなどの介護職の参加が最も多く、全体の33%を占め、次いで看護師(27%)、医師(19%)の順である。Net4U利用患者数は年々増加傾向にあり、地域の在宅医療に関わる医療・介護職にとって必須のツールとして定着しつつある。
また、在宅医療においては家族支援が不可欠なことから、患者・家族がサービス提供側である医療・介護と繋がる仕組みとしてNote4Uが開発された。Note4Uを利用することで、患者・家族側はNet4Uの検査結果、処方内容を閲覧でき、患者の病状を医療者側へ伝えることができる。また、連絡ノート機能を利用することで、相互のコミュニケーションも可能としている。利用した患者・家族からは、医療側といつでもコミュニケーションができることが安心感に繋がっているなど良好な反応も得ており、今後の展開が期待される。
さらに、山形県では4つの医療圏毎にID-Linkなどを利用した広域ネットワークが整備され、鶴岡・酒田市を含む庄内2次医療医療圏のID-Linkネットワークは「ちょうかいネット」と呼ばれている。Net4Uも「ちょうかいネット」の開示施設としてカルテ情報を開示するとともに、Net4U画面からワンクリックで開示病院の電子カルテを閲覧する機能を実装した。このことにより、病院、診療所、訪問看護ステーション、介護事業所、老人施設などの情報を地域で一元化することも可能となっている。一方で、診療所の参加が限られる、費用負担など課題も少なくない。