一般社団法人 日本医療情報学会

[3-C-2-PS11-3] 地域包括ケア時代におけるとねっとの活用とこれからの可能性

中野 智紀 (社会医療法人ジャパンメディカルアライアンス東埼玉総合病院 在宅医療連拠点菜のはな)

平成24年度より稼働開始した埼玉利根保健医療圏医療ネットワークシステム(以下、とねっと)は行政と医師会とが協力してシステムの運用に当たっているという点が特徴として挙げられる。とねっとは「集中型」の情報連携方式を採用しており、我が国で初めての二次医療圏単位のEHRといえる。平成29年現在、二次医療圏内の約3割に相当する医療機関と約3万人の住民が加入しており、平成29年度からはEHRとして診療報酬(検査・画像情報提供加算)の算定も開始された。さらに、介護保険など新たな財源も確保することができ、長年大きな課題であった運用費用問題にも一定の目処が立ちつつある。
とねっとには基本的な情報参照の他、多彩な連携機能が実装されている。医療機関の受け入れ状況と患者情報の双方を活用して迅速な搬送に活用されている救急システムや、PHR、検査予約、地域連携パスおよび疾病管理機能などが挙げられる。
特に昨今では、Medical-care stationとの併用による在宅医療および地域包括ケアでの活用が広がっている。とねっとは高齢者や既に医療機関に通院する患者だけでなく、全住民の生涯にわたる情報共有が可能という特徴を有する。これらは、地域包括ケアの時代において大きな意義を持つと考えられる。さらにセキュアなSNSを併用することで多職種協働を向上させる可能性がある。
平成30年4月には、とねっとのシステム更新を予定している。既に活用が進むMedical-care stationとの統合による在宅医療における多職種協働のさらなる推進や、歯科や調剤薬局の参画、健康記録機能の向上やIoTへの対応を含む新たな機能実装による活用シーンの拡大、ユーザビリティの向上を予定している。さらに、利根医療圏から埼玉県、そして、さらなる広域を対象とした情報連携および参加医療機関数の拡大へ向けて、現在、改修作業を進めている。